2018年2月8日 13時0分
1頭の食肉牛が、自由のシンボルとして海外メディアやSNSで話題になっている。
屠殺場へ向かうトラックから脱走
その牛はオランダ東部オーファーアイセル州の牧場に飼われていた食肉用の牛で、赤茶色のリムジン種。牧場のオーナーの名前を取ってヘルミンと呼ばれている。
ヘルミンは6週間前、トラックに乗せられて屠殺場に連れて行かれる途中で逃げ出し、道沿いの森に隠れて今も生き続けている。
賢く逃げ回るヘルミン
オランダ北部フリースラント州の森に逃げ込んだヘルミンを捕獲する試みは、これまでに何度も行われた。だが、賢い牛はそれを上手くかわして逃げ続けている。
昼間は森の奥深くに身を隠し、人里近くに出てくるのは夜だけ。しかも、少しでも人気を感じるとすぐに身を隠してしまうという。
ヘルミンを射殺するプランもあるが、森を散策している一般人に流れ弾が当たる危険もあり、実行には至っていない。
「彼女(ヘルミン)は6週間逃げ続けている。とても内気で、人に対する警戒心の強い彼女はまだまだ逃げ続けるだろう」と海外メディアは報じている。
地元オランダで大声援
こんなヘルミンは、今、自由のシンボルとしてオランダで有名になっている。
#JesuisHermien、#GoHermienといったヘルミン(Hermien)の名を含むハッシュタグがトレンドの上位に上がり、メディアでも取り上げられている。
海外メディアによると、オランダ王室のピーター・ファン・フォレンホーフェン氏も注目し、「我々はヘルミンを救わなければいけない。お金を出し合って彼女を買い取り、彼女に自由を与えよう」とツイートしているとのこと。
こうした流れを受けて、オランダの動物愛護団体The Party for the Animalsがクラウドファンディングを開始。すでに48,000ユーロ(約644万円)が集まっている。このお金でヘルミンは、捕獲されても、余生を静かな牧場で平和に暮らせるそうだ。
早く出て来いヘルミン
ヘルミンの余生は保証されたが、当のヘルミンが森から出て来ないのではどうしようもない。
今後の捕獲作戦について、メディアのインタビューを受けたオランダの獣医Edo Hamersma氏は、こんなふうに言っている。
彼女は極度に神経質になっているはずです。だから、あと数週間放っておいて、気持ちを落ち着かせるのが最善策ではないでしょうか。
その後で、何匹かの牛を使っておびき出すのです。牛は群れる習性がありますから、牛の群れを森の中に送り込めば、ヘルミンはそれについて来るはずです。