ヒグマ4頭、英で余生 | トピックス

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2018年01月30日  YOMIURI ONLINE 北海道発

 

 

 

「アイヌ博物館」3月閉館で

 

英国の野生動物公園で余生を過ごすことになったアイヌ民族博物館のヒグマ

英国の野生動物公園で余生を過ごすことになったアイヌ民族博物館のヒグマ
 
 

 アイヌ民族博物館(白老町)が所有するヒグマ4頭が、約9000キロ離れた英国の野生動物公園に引っ越しすることが29日分かった。英国側は、野生のヒグマが生息する北海道の森をイメージしたすみかを用意し、クマを神(カムイ)と尊ぶアイヌ民族の歴史や文化なども紹介していく。道などによると、北海道のヒグマが海外に渡るのは聞いたことがないという。

 

 アイヌ民族博物館は、アイヌの文化や風習などを説明するため、主に日高地方で捕獲されたヒグマ4頭を敷地内で展示している。同館はアイヌ文化復興の拠点「民族共生象徴空間」の整備に伴い、3月末に閉館するため、高齢で自然に戻すのは難しい19歳から29歳までのオス3頭とメス1頭のヒグマの引き取り先を探していた。

 

 同博物館から相談を受けた公益社団法人日本動物福祉協会(東京)と国際動物福祉団体ワイルドウェルフェア(英国)が引き受け手を探していたところ、英国サウス・ヨークシャー州にあるヨークシャー野生動物公園が生息場所の提供を申し出たという。

 

 同公園は、総面積110ヘクタール。東京ドーム20個以上の広大な敷地に、ライオンやホッキョクグマ、トラなど70種、約400頭の動物が暮らしている。公園側では、クマに適した専用の生息場所を用意する。同時に、アイヌ民族がヒグマを森の中で最も位の高い神、キムンカムイとあがめ、野生動物と共生してきた歴史や文化なども来場者に紹介し、先住民族への理解を深めてもらうという。

 

 同館は来月、英国側とヒグマ譲渡に関する仮契約を結び、英国人獣医師が来日して、ヒグマの健康チェックを行う。健康状態に問題がなければ、今春にも空輸される見通しだ。輸送にかかる費用は、英国側が負担する。