毎日新聞
昨年度、県内の保健所に収容された犬や猫が3896匹となったことが県の集計で分かった。前年度と比べて797匹減ったが依然として高い水準で、全体の4分の3は殺処分された。県は、一般の人に一時世話をしてもらうボランティア制度を設けるなど対策に乗り出している。【植松晃一】
県生活衛生課によると、保健所が昨年度に収容したのは、犬2509匹、猫1387匹。年度をまたくが約100匹が元の飼い主、約850匹が新たな飼い主に引き取られた。しかし、それ以外の犬と猫は殺処分された。
保健所に収容されると、犬や猫は5~7日間、元の飼い主が名乗り出るか、新たな飼い主の登場を待つが、いずれもなければ殺処分される。昨年度に収容された犬の74・7%、猫の77・8%で引き取り手が現れなかった。
保健所の収容能力などから期間延長は難しく、県は2013年秋、新たな飼い主が見つかるまで一般の人に預かってもらう「譲渡ボランティア制度」を創設。新たな飼い主と巡り合う機会を増やしてきた。一定の成果が出ているが、元々の収容数が多いため、多くが殺処分されている。
香川で収容数が多いのは、野生の犬や猫が多いためという指摘もある。野生動物が越冬できる温暖な気候に恵まれ、お遍路さんへの接待文化もあって野生の犬や猫に餌を与える人も少なくないという。栄養状態の良くなった犬や猫が繁殖を繰り返しているとみられ、子犬や子猫が収容される割合は他県より高い。約3分の1は離乳前の個体で、よちよちと歩き始めて住民らの目に触れ、収容された例が多いようだ。
浜田恵造知事は「まずは飼い主が動物を飼う責任を自覚してほしい。また、安易に餌を与えることで結果として不幸な命を増やすことのないようにすることも重要」と述べている。
引き取り募集や相談会も 県獣医師会
今年9月、高松市のサンポート高松で動物愛護週間に合わせた「動物愛護フェスティバル」が開かれた。県獣医師会が主催し、今年で35回目。ペットの相談を受け付けるだけでなく、犬、猫の飼い主を募集するコーナーも設けられた。
家庭で生まれ、元の飼い主が世話のできない生後2~3カ月の子犬8匹、子猫9匹が集められ、引き取り手を探した。殺処分を減らすことが目的で、避妊・去勢手術を受けさせる同意が取れれば、希望者に無料で譲渡する。
子犬を引き取ることを決めた丸亀市の40代女性は「捨てられる犬や猫が少しでも少なくなればうれしい」と笑顔で話した。県獣医師会の保田英彰会長は「引き取ってもらっても、子どもを産むと殺処分にもつながる。飼い主は責任をもって世話をしてほしい」と呼びかけた。【潟見雄大】