9/1(金) 8:49配信 @S 静岡新聞

保護されたトイプードルを引き取る新たな飼い主(右)=31日午前、静岡市駿河区のふくろう動物病院
富士宮市で多数のトイプードルを飼っていた女性が8月に飼育を断念した問題で、静岡県や獣医師らによって同月22日から一時保護された犬のうち譲渡対象になった61匹すべてが、9月上旬までに新たな飼い主に引き取られる見通しとなった。
同市と県富士保健所、動物愛護団体、静岡市獣医師会が連携した一時保護は25日までに完了した。活動中、新たに子犬3匹が生まれ、保護した犬は計91匹。途中で死んでしまった5匹のほか、けがの治療などで譲渡の対象にできない犬を除いた成犬61匹の飼い主を同保健所などが募ったところ、静岡県内外から問い合わせが相次いだ。
31日、新たな飼い主に引き渡す前の一時預かり拠点の一つとなった静岡市駿河区のふくろう動物病院には、譲渡の希望者が面会に訪れ、新たな“家族”を迎え入れた。山梨県南部町の無職の女性(81)は6歳の雌を引き取り、尻尾を振る犬をなでて「仲良くしよう」と目を細めた。会員制交流サイト(SNS)で募集を知ったという岐阜市の会社員の男性(23)は「まずはしつけと去勢をしっかりしたい」と話した。
同動物病院の鈴木淑剛院長は希望者に、犬が人間との関わり方を知らずに育ったために慣れるまでのケアが必要なことや、遺伝的疾患の可能性などを説明した。譲渡後、狂犬病予防法に基づく飼い犬登録や予防注射、去勢・避妊手術の実施を報告することも求めた。
犬の一時預かりには県富士保健所のほか、静岡市獣医師会所属の動物病院7カ所とボランティア3世帯が無償で協力し、汚れた犬を洗ったり、治療を施したりした。鈴木院長は「関係各所の素早い対応で平常通りの業務に戻ることができた。残る犬も通常の業務の中で飼い主を探していきたい」と話した。
静岡新聞社