
ドライでもウェットでも、問題の
物質を含むものがあるみたいです。
犬の生殖能力が明らかに低下していると
いう研究結果が発表されました。
原因として考えられるのは、ある種の
化学物質を含むペットフードです。
さらに心配なのは、人間の男性にも
同様のことが起きているかもしれない
ということです。
Nature Scientific Reportsで発表された
論文で、ノッティンガム大学の
Richard G. Leaさん率いる研究チームは、
オス犬の精子の質がこの26年のあいだで
劇的に低下していることを示しました。
研究チームはまた、いわゆる
「環境ホルモン」とされる化学物質が
成犬の精子や睾丸、そしてメジャーな
ドッグフードから検出されたことを
報告しています。
「これはオス犬の生殖能力低下が
報告される初めての事例で、我々は
これを環境汚染によるものだと考えて
います。ドッグフードや、犬の精子や
睾丸でも汚染が見つかっています」と、
Leaさんは語っています。また、
「関連性を判断するためには研究をより
深める必要がありますが、犬に起きて
いることは、人間にも起きているかも
しれません。犬は我々と同じ環境にいて、
同じような病気を同じような頻度で
わずらい、治療にも同じように反応
します」
Leaさんたちが調査したのは、
ラブラドール・レトリーバー、
ゴールデン・レトリーバー、
カーリーコーテッド・レトリーバー、
ボーダーコリー、ジャーマンシェパード、
5犬種の種犬数千頭。彼らは26年間に
わたって毎年42~97頭の精子を採取し、
精子の数が着実に減っていることを
明らかにしたのです。
1989年から1998年にかけては
毎年2.5%ずつ、2002年から2014年に
かけては毎年1.2%ずつ、犬の精子は
減っていきました。ちなみに遺伝的な
要素は精子減少の原因ではないと
されています。
さらにこれらのオス犬の精子から
できた子犬では、停留精巣という異常を
持つ確率が高くなっていました。犬でも
人間でも、胎児のときに精巣がお腹の
中から陰嚢に降りてくるんですが、
それが途中で止まってしまうのが
停留精巣です。
Leaさんたちがオス犬から集めた精子を
分析したところ、フタル酸ビス(DEHP)
とかポリ塩化ビスフェノール153(PCB153)
といったいわゆる環境ホルモンが含まれて
いました。その濃度は、論文によれば
「他の動物で生殖機能を混乱させることが
証明されているレベル」にまで達して
いたそうです。
そんな物質が、いろんな種類の一般的な
ドッグフードからも、同様に高い濃度で
検出されています。ウェットフードでも
ドライフードでも子犬用でも関係ないようです。
他の研究では人間の男性でも精子の質が
下がっていることが示されていますが、
因果関係はまだ証明されていません。
Leaさんいわく、この研究は犬の精子の
質低下と環境の関係、そしてその環境の
人間に対する影響についての問題提起
なんです。
…で、犬を飼っている人はどうすれば
いいんでしょうか? 今のところ
ドッグフードの影響が示されているのは
精子の数だけなので、飼い犬の子どもを
作ろうとしているのでなければ、
気にしなくてもいいっちゃいいみたいです。
とはいえ問題は生殖能力だけなのかとか、
人間は大丈夫なのかとか、いろいろ心配
ですよね。
DEHPなどの環境ホルモンの危険性は
だいぶ前から認識されています。食器に
使っちゃいけないとか規制もされて
いるみたいですが、まだまだいろんな
ルートで広がってるんでしょうね…。
image by Jagodka / Shutterstock.com
source: Scientific Reports
George Dvorsky - Gizmodo US[原文]
(miho)