「愛犬の仇討ち」で殺人を犯した死刑囚・小泉毅に聞いた! 犬の大量遺棄問題の対処法 | トピックス

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世界びっくりニュース 世界中の仰天ニュースをお届け!2014年11月19日 より


先月末、栃木・鬼怒川の河川敷で
大量の犬の死骸が見つかったのを皮切りに、
犬の不法投棄が疑われる事例が全国各地で
次々に発覚している。
この痛ましいニュースが話題になる中、
筆者は以前取材した1人の死刑囚のことを
思い出していた。この事件について、
小泉毅(52)なら、
なんと言うだろうか...、と。




【獄中で書かれた論文などの画像はコチラ
http://tocana.jp/2014/11/post_5216.html

■愛犬チロの仇討ち3人を殺傷した男

 2008年11月、小泉は埼玉と東京で
元厚生事務次官宅を相次いで襲撃し
、計3人を刃物で殺傷した。
事件後ほどなく自首すると、
「子どもの頃、保健所で誤って殺処分に
された愛犬チロの仇討ちをした」と
意外すぎる犯行動機を告白。
裁判でも「私が殺したのは人間ではなく、
マモノだ」という前代未聞の論理で
無罪を主張するなど、
事件後の言動でも世間を驚かせた。

そんな特異な殺人者の実像を知りたく
思い、筆者が東京拘置所を訪ね、
初めて小泉に面会したのは
昨年3月のことだった。
小泉は当時、最高裁に上告中だったが
それ以来、今年6月に小泉が上告を
棄却されて死刑確定するまで1年余り、
面会や手紙のやりとりを重ねた。
こうして知った小泉の実像は
報道のイメージと随分異なっていた。

 初めて面会した時、
小泉は「弁護人に新聞や雑誌を
差し入れてもらい、自分に関する記事は
目を通していましたが、デタラメばかり
でした」と言った。そして具体的に
1つ1つ報道の間違いを指摘した。

「たとえば、自分について、
喫煙マナーが悪く周囲の人とトラブルに
なっていたような報道がありましたが、
自分はそもそもタバコを吸いません。
自分が自首した時、住民票を持参していた
と書いた新聞もありましたが、
なぜ自首するのに住民票が
必要なのでしょうか?
よくもこんな大嘘を書くものだと
驚きました」

 筆者は実際に本人に会うまで、
小泉のことを威圧的なオーラをまとった
キレやすい人物ではないかと思っていた。
マスコミ報道で見た不敵な面構えの
印象が強烈だったのに加え、
公判中に感情を高ぶらせることも
あったように報じられていたためだ。
だが、実際の小泉は思ったより小柄で、
とても穏やかな雰囲気の人物だった。

「自分がマモノを殺したのは、
あくまでチロちゃんの仇討ちのためです。
しかし、日本では他にも何の罪もない犬や
猫が毎日大量に保健所で虐殺されています。
自分はそんな犬や猫たちの代弁者となって
この国の"ペット虐殺行政"を批判するため、
死刑になることを承知のうえで自首し
、裁判で無罪を主張したのです」

 小泉の逮捕当初、
「本当に犬の仇討ちなどという動機で、
こんな大事件を起こしたのか?」と
いぶかる向きもあったが、そう語る小泉は
どう見ても真顔だった。

 実際、全国の自治体で1年に16万匹
(2012年度)の犬猫が殺処分になっている
ペット問題の現状にも詳しかったし、
試しに筆者が飼っている柴犬の写真を
見せた際も、
「犬のリラックスしている姿には
癒やされますね」と、
心底うれしそうな笑顔だった。
小泉のような特異な人物の言動を
深読みしたくなるタイプの人には
申し訳ないが、事件に関する小泉の
供述は間違いなく、すべて本心から
発せられたものだった。

■知的レベルは高かった

 小泉は面会中、どんな質問をしても、
こちらの意図を正確に理解し、
理路整然とした答えを返してきた。
国立の佐賀大学の理工学部に進学し、
中退した経歴はマスコミでも注目されたが、
獄中でも「時空」やら「超ひも理論」やら
理科系の難しそうな勉強を色々やっていた。
今年になって、「特殊相対論」に修正の
必要があるという内容の論文を
書き上げたというので、見せてもらったが、
筆者の能力では理解不能な専門的な用語や
関係式、図で埋め尽くされた本格的な
内容に感心させられた。
小泉は善悪の基準こそ常人と異なるが、
知的レベルは間違いなく高かった。

 そんな小泉のことも死刑確定後、
面会や手紙のやりとりができなくなって
数カ月経ち、筆者は正直、
記憶が薄まっていた。今回話題になった
犬の大量遺棄問題をうけ、久しぶりに
小泉の話を聞いてみたく思ったのは、
小泉が"ペット虐殺行政"を改善するため、
色々私案を示していたからだ。

「国が今、犬や猫を虐殺するために
使っている金は、犬や猫を生かすために
使うべきです」
「ペット販売を厳しく規制し、
動物虐待に関する刑罰ももっと重く
しないといけません」
「動物を保護するための警察機関の
ようなものも必要だと思います」

 全国で続々発覚している犬の大量遺棄に
ついては、栃木・鬼怒川の事件で18日、
元ペットショップ店員の男が
廃棄物処理法違反などの容疑で
逮捕されたが、全国の他の事例でも
悪質な業者の犯行が疑われている。
昨年9月に施行された改正動物愛護法に
より、業者が不要な犬を処分目的で
自治体に持ち込みづらくなったためだ。
そんな中、小泉が死刑確定前に
示していた"ペット虐殺行政"の改善案は、
業者の悪質行為への対処策として
有効に思え、改めて感心させられた。

■実は存在した、小泉の支持者たち

 実はそんな小泉に共感する
動物愛護家たちも少なからず存在する。
マスコミは黙殺しているが、
今年6月にあった最高裁の判決の前には
支持者らによって減刑を求める署名活動が
行われ、1,500筆をゆうに超す署名が
集まっていたほどだ。最高裁の判決公判には、
小泉の支持者たちも傍聴に来ていたが、
死刑確定を決定づける上告棄却という
結果に本気で憤り、残念がっていた。

「小泉さんは本当に素晴らしい人です。
もしも国を変えることができたとすれば、
小泉さんは革命者だと思います」

 ある女性支持者は涙ながらに
そう力説していたが、支持者たちの間では
、死刑覚悟で犯行を敢行した小泉を
崇拝するような雰囲気すらあった。
もちろん、小泉の殺人行為を
肯定するわけにはいかないが、
この国はそろそろ、動物を飼うための
資格審査制度を設けるくらいの
抜本的な改革をすべきではないか。
そうしなければ、
第2、第3の小泉が出現しても
不思議はないように思える。
(取材・文・写真=片岡健)