電車に乗った迷い犬どこへ | トピックス

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2016年02月03日 19時14分 京都新聞

「もしやうちの子ではないかと…」。

奈良県橿原市の男性(79)と
妻(75)が記事のコピーを手に、
京都新聞社京田辺・学研総局に
やって来た。

沈痛な表情だった。

昨年末に飼い犬(6歳)が
いなくなって捜していたところ、
同居の娘がインターネットに
掲載された記事「無賃乗車犬」を
見つけたという。

 その記事は新聞では山城版の
小さな扱いだったが、1日数億件の
閲覧があるとされる大手
ニュースサイトのトップに
掲載された。

京都新聞のホームページにも
アクセスが殺到し、サーバーが
悲鳴を上げた。

ツイッターやフェイスブックなどの
SNSで瞬く間に記事は拡散された。

 反響は大きかった。

「財布を忘れたのか」

「切符買ったほうがニュース」など
大喜利的な書き込みも相次ぎ、
犬の行方は一時、多くの人たちの
関心事になった印象を覚えた。

 しかし「祭り」の収束は早い。

ネットメディアは競って
おもしろ記事を投入し、ネット読者の
井戸端会議を盛り上げる。

突っ込みどころ満載の話題は
次々やって来る。

すでに無賃乗車の犬の行方を
気にしている読者は少ないに
違いない。

 一方、男性は情報を求め、
再び総局を訪れた。

すがるような思いだったに違いない。

「表情やおなかの感じが
似ているんですよね」。

記事の犬が飼い犬と同じかは
分からないが、そう何度も繰り返した。

ニュースが「消費」され尽くした今も、
家族の一員を捜す日々が続いている。



近鉄電車に「無賃乗車」してしまった犬