動画に151万円 広報紙に1234万円かけ… 県動物保護センター 建設寄付募集 | トピックス

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2015年12月23日東京新聞 TOKYO Web


黒岩祐治知事の肝いりで進めている県動物保護センター建設資金の寄付募集で、県はPRに躍起になっている。


著名人を使った動画制作や広報紙の特集号発行、職員にはボーナス天引きでの協力を呼び掛けるなど、あの手この手を繰り出す。


ただ、かけたPR費用約1400万円に対し、集まったのは約1800万円。

これまでの費用対効果には疑問も出ている。(原昌志)



 保護センターは老朽化した平塚市の現施設を建て替える計画。

かつては捨てられたペットなどの殺処分が大きな役割だったが、新施設は「生かすための施設」を掲げ、殺処分室は造らない。

動物愛護ボランティアの交流スペースなどを設け、建設費約十一億円は本年度から三年間で寄付によって集めるのが目標だ。七月から受け付けを始めた。

 寄付の呼び掛けは芸能人にも協力してもらい、十月~十一月にかけ、百五十一万円の費用でPR動画を制作した。県動物愛護推進応援団長の女優杉本彩さんや歌手の河村隆一さん、トリノ五輪フィギュアスケート金メダリストの荒川静香さん、アイドルタレントのAKB48らそうそうたる面々が無償で出演した。


県のウェブサイトで公開して、再生回数は五万数千件(十二月中旬)となっている。

 また「ペットのいのちも輝く神奈川」をうたった県広報紙特集号(十一月十五日号)は二百七十二万九千部を印刷し、新聞折り込みなどで各戸に配布。総費用は千二百三十四万円かかった。


 一方、集まった寄付は今月十日現在で、九百四十三の個人・団体からの千七百七十五万円。


また、県職員には、冬のボーナスからの天引きで寄付を促す案内をしたが、応じたのは百二人の四十四万円だった。本年度目標の一億円にも届きそうにない状況だ。


 PR経費を単純に差し引くと、寄付額は約四百万円の計算になる。県議会では「費用対効果を検証する必要がある」との意見もあがっている。


 所管の県食品衛生課の担当者は「PRは寄付集めだけでなく、ペットを大事にしてもらう啓発の意味もある」とし、寄付の見通しには「これまでは個人が中心だったので、企業からの大口寄付を期待したい」と話している。


 センターの建設資金集めに寄付を募ること自体に、異論や戸惑いもある。


自民党の敷田博昭県議は「狂犬病予防法に基づき、必ず設置しなくてはならない施設。


公費で建設し、寄付金は愛護団体などへの支援に回すべきだ」と指摘。


ある動物愛護団体メンバーは「建設費への寄付募集は否定はしないが、各団体はえさ代や交通費などを持ち出しで活動しており、資金的に苦労している」と漏らす。