警備犬レスター号死す、新潟中越地震で2歳児救助 | トピックス

トピックス

身近で起こっている動物に関する事件や情報の発信blogです。

2015年12月5日8時52分日刊スポーツより

レスター号、ご苦労さまでした。

2004年の新潟県中越地震の
崖崩れ現場から、当時2歳だった
男児の生存を突き止め、
救出につなげた警視庁の警備犬
「レスター号」
(雄、ジャーマンシェパード)が
4日午前7時半、老衰のため死んだ。

人間では90~100歳に相当する
13歳だった。

 警備第2課によると、
多摩地区にある警視庁の警備犬訓練場の
犬舎で、担当の警察官らに
見守られながら息を引き取った。

 レスター号は03年12月23日、
天皇誕生日の皇居警備で警備犬デビュー。

翌04年10月の新潟県中越地震では、
発生から約92時間が経過し、
大規模崩落のあった長岡市の崖崩れ現場から、
当時2歳だった皆川優太君(14)の
生存を嗅覚で突き止め、救助につなげた。

08年5月に中国・四川大地震にも出動。

中越地震と四川大地震の活躍では、
それぞれ警視総監賞を受賞した。

 普段のエサはドライフードだが、
時々もらえる牛肉の缶詰が好物だった。

激務が続いたが、病気やけがもなく、
11年に8歳で引退するまで第一線で
活躍。

その後も訓練所に残り、
ハンドラーとなる若手警察官たちの
訓練では、爆発物捜索などでの犬の
反応や扱い方を示す手本を示す
“教官”犬としても活動してきた。

 中越地震の現場で現場指揮官として
男児の捜索にあたった山川良博警部(63)
もこの日の朝、レスター号との別れに
立ち会った。

山川警部は
「本当に、すごく鼻がいい犬でした。
非常に過酷な現場に出動して
もらってきた」と話した。

 救出された優太君の祖母ミハルさん
(77)は当時、現場でレスター号を
見たといい「孫の命を救ってくれて本当に
感謝しています。
亡くなってしまったことを知り、
つらい気持ちでいます」と声を落とした。

 近く火葬され、警視庁警察犬の
慰霊碑がある板橋区の動物霊園
「東京家畜博愛院」に祭られる。

 ◆新潟県中越地震 
2004年10月23日午後5時56分、
新潟県中越地方の地下13キロを震源に
発生したマグニチュード(M)6・8の
直下型地震。
新潟県川口町(現在長岡市)で
最大震度7を記録、小千谷市や小国町などで
震度6強を観測した。
被害は死者68人、負傷者4805人、
家屋の全半壊は約1万6000戸に
及んだ。

 ◆警備犬 事件現場で犯人の
においをかぎ取り、追跡する刑事部の
警察犬とは異なり、空気中に漂う臭気から
爆発物を見つけたり、テロリストの制圧や
災害現場で生存者を捜したりする。

死んだ警視庁の警備犬「レスター号」