ティアハイムを見学し、
コンパニオンアニマルを中心に
ドイツの動物福祉を垣間見ることが
できたが、ドイツの動物関連の法律は
どうなっているのだろうか。
ドイツは欧州連合(EU)の
ガイドラインに基づき、伴侶・畜産・
実験・野生動物などあらゆる動物を
対象にした動物保護法を持つ。
販売業者は許可制で、小型犬を極端に
小さく育てたり、乳量が多過ぎる牛の
繁殖を禁じたりする規制もある。
特に、犬については細かい規則が
定められ、例えば子犬は生後8週たたない
と母犬から引き離せない。
ケージの最低面積は体高
(立った状態で地面から背中までの長さ)
50センチまでは6平方メートル、
同65センチ以上は10平方メートルなど
と決まっている。
採光、通気、暖房設備などに関しても
基準があり、これらを全て満たすとなると
実質的に商売は割に合わないため、
ペットショップでは原則として犬猫は
売られていない。
ただ13年1月、基準を満たした大型の
ペットショップが1店舗オープンし、
動物愛護団体から批判を受けるなど物議を
醸している。
さらに、最近では東欧の農家で生まれた
子犬が安く販売されるなど、ドイツでも
新たな問題が浮上し、国は子犬の輸入業を
許可制にするなど規制強化に乗り出している。

ティアハイムでは、
何度も通って自分が飼えるか
熟慮する人が多い【時事通信社】
一方、日本はどうかというと、
年間10数万匹の犬猫が殺され、
ペット販売業は登録制、実験動物と
畜産動物に至っては、所管庁が法律に
基づいた指針により施設、農場などを
指導しているが規制は緩く、実質的に
施設や生産者の自主管理に任されている。
ドイツとはほど遠い現状だが、
改正動物愛護管理法では飼い主の
終生飼養義務が明記され、自治体は
無条件に犬猫を引き取らないことに
なった。
民間愛護団体、意欲的な
動物愛護センターなどでは予算も人も
不足する中、動物の保護や避妊去勢
、里親探し、飼い主教育など懸命の
努力が続いている。
より多くの人々が関心を持ち、
事態が少しずつ前進していくことを
願う。

牛、豚、うさぎなどが
食肉、薬、化粧品、毛皮などとして
利用されていることを示した
ティアハイムのパネル
(文化特信部・森映子)