野良猫:不妊去勢専門病院 引退獣医が福岡・大野城で開院 | トピックス

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2015年05月31日 08時44分毎日新聞より



獣医師として復帰し、さくらねこ病院を開院した藤田泰志院長=大野城市で2015年5月7日午後5時6分、末永麻裕撮影
獣医師として復帰し、
さくらねこ病院を開院した藤田泰志院長
=大野城市で2015年5月7日午後5時6分、
   末永麻裕撮影

 野良猫 の不妊去勢手術を専門とする

全国的にも珍しい動物病院が

福岡県大野城市に開院した。


野良猫の手術を引き受けたがらない

動物病院も多い中、野良猫 の繁殖により

殺処分される不幸な子猫を少しでも

減らそうと、ボランティア団体が計画し、

一度引退した獣医師の協力で実現した。


 福岡県内で2013年度に殺処分された

猫4790匹のうち、約8割の3695匹が

子猫だった。


殺処分を減らす手立ての一つが

野良猫の不妊去勢手術だ。


 そこで、同県春日市を中心に野良猫や

捨て猫に不妊去勢手術を受けさせたり、

ワクチン接種をして飼い主を探したりする

活動を続けている「ねこともの会」が

専門病院を計画。


12年まで福岡市南区で動物病院を

開業していた藤田泰志さん(67)に

協力を依頼した。


 同会や藤田さんによると、

感染症などにかかっている可能性のある

野良猫の手術を引き受けることに

消極的な動物病院が多い。


また、飼い主のいない猫の

不妊去勢手術代を無料としている

自治体もあるが、地域で育てる

「地域猫」の指定を受けなければ

ならないなど対象が限られている。


 藤田さんは、犬や猫の不妊去勢手術が

浸透していなかった1990年代から

野良猫などへの手術を行い、同会の

活動も手伝ってきた。


65歳を迎えたのを機に引退していたが

野良猫 のために手弁当で手術を

受けさせるボランティアの人たちには

頭が下がる。

人生の後半は、獣医師として

社会貢献をしたい」と復帰を決意した。


 計画に賛同する別の獣医師の善意で

閉院中の動物病院を相場より安く借り、

3月、藤田さんを院長に

「さくらねこ動物病院」が開院した。


 手術代は一般的な動物病院の

半額以下という。


同会に限らず、他の依頼にも応じている。


動物愛護団体「ALIVE」(東京)や

藤田さんによると、不妊去勢手術を

専門にしている病院は首都圏などに

数軒ある程度。


藤田さんは「殺処分をなくすためには、

むやみに産ませないことしか

今は手段がない。

野良猫の不妊去勢手術をする獣医師や

専門の病院が増えてくれれば」

と話している。【末永麻裕】