「ごめんな」泣きわめく犬、猫が夢に…犬猫殺処分、自治体職員の苦悩 | トピックス

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2015.5.28 11:45 産経デジタル より


 【日本の議論】

 自治体が2013年度に殺処分した犬猫の

数は約12万8000匹だった。


愛護意識の高まりで減少傾向にあるものの、

毎日約350匹が処分されている計算だ。


昨年は小型犬が大量に捨てられる事件も起きた。

「実態を知ってほしい」。自治体で処分に携わる

職員の苦悩は続く。



◆罪の意識

 捨てられた犬や猫を引き取った自治体は、

譲渡先を探す。

最近は愛護団体と協力して新たな飼い主を

見つける活動が奏功し、札幌、熊本両市は

14年度の犬の処分がなく、神奈川県(横浜市

など除く)は犬猫ともゼロを達成した。


しかし、多くの自治体では人員と飼育場所に

限界があり、「ゼロ」はほど遠い。


 高知市にある中央小動物管理センターでは、

県と市が委託した企業の社員が二酸化炭素

(CO2)ガスで殺処分している。



14年まで約7年働いた野村笹乃さん(28)は、

苦しむ犬や猫を見て罪の意識を抱えてきた。

「どんな思いだったか知ってほしい」と訴える。


 野村さんは、命を救うためには動物好きの行

動が鍵とみる。

好きだからと野良猫に餌をやれば繁殖し、

鳴き声やふんに困った人が処分を依頼する。


悪循環をよそに、餌をやった本人は増えた

猫の世話や掃除はしない。


 「地域で掃除や避妊去勢に取り組めば助かる

命は多い」。


野村さんは退職後、小動物看護師や訓練士の

資格を取った。飼い主と動物に手厚く対応できる

力を生かし、殺処分を減らすのが目標だ


◆「安楽殺」

 「ごめんな」。3月、山口県下関市の動物愛護

管理センター。

和田敏夫センター長(56)=当時=は、猫4匹に

声を掛け「麻酔薬注入」のスイッチを押した。



薬が処分室に充満すると意識を失い、30分

ほどで息絶えた。

 環境省によると、自治体の殺処分は、CO2

ガスで窒息させるか、麻酔薬の注射が主流。


ガスは酸素が薄くなり大きな苦痛を伴うとされ、

注射は1匹ずつのため獣医師の負担が大きい。


 下関市は09年、約10億円をかけて麻酔薬を

吸わせる今の施設をつくった。以前は筋弛緩剤を

注射しており「殺すために獣医師になったん

じゃない」と漏らす職員もいた。


 和田さんは「人と動物の負担を和らげる意味は

大きいが、あくまで安楽死でなく『安楽殺』だ」と語る。


夜には泣きわめく犬や猫が夢に出た。


「慣れるとおかしくなりそう」と悩み、4月の異動で

センターを去った。

 全国初の災害派遣獣医療チームを結成する

など、動物のケアに携わる福岡県獣医師会の

船津敏弘さん(58)は「臭い物として殺処分の

現実にふたをしているのが今の社会だ」と指摘。


癒やしを求めるだけでなく、社会全体で動物を

守る責任があると話した。