《2023年8月30日》ー障害者就労継続支援事業所制度の見直しを望む | aichanの双極性日記

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 日本には障害者就労継続支援事業所というものが存在する。A型とB型があり、A型は障害者と雇用関係を結び最低賃金で1日4時間働かせ、B型は雇用関係を結ばずに障害者を1日300円程度で働かせるというものである。行政はそのどちらにも給付金を出している。給付金は1日いくらで計算され、抱えた障害者ひとりにつきいくらというように支払われている。障害者に支払った残りの給付金は障害者の支援のために使えということになっているが、ほとんどの事業所では経営陣の儲けのために使われている。

 

 私はそのどちらの事業所でも働いた経験がある。最初は千歳市の「帆の風」というA型事業所で働いた。仕事内容はレンタルビデオ店から寄付されたかわずかばかりの金で買い取ったレンタル落ちの古いビデオをアマゾンやヤフーでネット販売するというもので(最近は野菜の栽培などもしているらしい)、ビデオの多くは何と1円で販売していた。これでは儲けがないどころか損になると気づいた私は事業所経営陣の魂胆に思い至った。つまり、儲けなど度外視し、給付金が目的だということである。障害者支援などにはまったく興味がないわけだ。だから求人情報で毎週募集し、まるで障害者を狩るようにどんどん障害者を雇い入れていた。それだけ給付金が増えるからである。

 

 こういう事態を私は早くから行政に指摘していた。私以外にも全国でその存在意義に疑問を持つ方が立ち上がり、そのせいで行政がようやく動き、特にA型事業所のあり方を調査・監督するようになり、多くのA型事業所が閉鎖に追い込まれた。しかしB型事業所についてはノータッチだった。

 

 残ったA型事業所とB型事業所では、給付金目的でひとりでも多くの障害者を抱えようと努力している。

 

 千歳市の「帆の風」というA型事業所の次に私が入ったのは札幌市中央区のNPO法人タカラが運営する「ハコメシヤ」というB型事業所だった。私は最初は1日300円で4時間働かされ、やがて1日500円で働かされた。仕事内容は弁当作りだった。「ハコメシヤ」というB型事業所を運営するNPO法人タカラはほかにも別のB型事業所を数カ所持っていて、抱える障害者は数十名にのぼっていた。したがって給付金の額も相当な額になっていたと思う。私はその実態を知って怒りのあまりそこを辞めた。

 

 次に私が入所したのは、雇った障害者の働きによってできるだけ事業所の運営費をまかなうというやや良心的な札幌市中央区の「さくらトータルサービス」というA型事業所だった。そのことを面接で知って入所したのだが、しかし内実は滅茶苦茶だった。

 

 毎月の給付金は、障害者ひとりにつき皆勤した場合は17万円を越していた(最低賃金の上がった今はもっと多くなっているはずである。給付金は最低賃金時給をもとに計算される)。そのうち障害者に支払われる賃金は7万円強で、残る10万円は障害者の支援に使われるべきである。しかし実態は経営陣の懐に入り、社長の高級車などに使われていた。社長は現在は国産高級車に乗り、以前はベンツに乗っていた。

 

 「さくらトータルサービス」には40名の障害者(利用者と呼ばれる。うつ病や統合失調症、発達障害、聾啞、視覚障害、身体障害の人たち)が働いている。すると17万円×40名で単純計算すると毎月680万円の給付金が入ってくるのだ。ひとりに月7万円の賃金を払っても400万円余る。職員が社長を含めて5人程度いたから、その人件費を200万円としても200万円残る。家賃や光熱費などを差し引いても100万円は余るだろう。

 

 「さくらトータルサービス」は有給休暇を月に1日しか認めていなかった。これはおそらく、給付金が減るのを防ぐ対策である。こんなせこいことをしてまで給付金を懐にしたいのだ。

 

 では、その「さくらトータルサービス」はどんな業務を行なっていたかというと、陶芸・手芸だった。手芸には裁縫・フェルト手芸・編み物・織物などがある。このうち陶芸に関しては粘土代や釉薬代、窯代があるが、月にすればそれは数千円程度である。手芸に関してはその材料のほとんどを地域からの寄付でまかなっていた。つまり、ほとんど金がかかっていなかった。初期投資のミシン代くらいが大きな出費だろう。あとはノートパソコンが5台あった。これも初期投資である。

 

 「さくらトータルサービス」では、利用者にホームページを作らせ、インスタグラムやツイッター、ブログを運営させていた。いずれも片手間での作業である。そして問題は、そのためのや写真撮影や写真加工、ネットへの投稿などはすべて利用者のiPhoneに頼っていたということである。ホームページを作るホームページビルダーは職員の私物。つまり、ネット関係の仕事についても事業所は一銭の金も出さずにいたのである。

 

 「さくらトータルサービス」はそれが当然と考えている。私はホームページ作りやインスタグラムの運営に携わったが、経営陣に頼んでもiPhoneもデジカメも買ってもらえなかった。やむなく私物のiPhoneを使ったが、毎月撮影する枚数は数百枚にのぼり、加工する枚数も大変な数だった。事業所のパソコンではできない写真加工等は勤務時間外に自宅で行った。それでも経営陣は「すまない」とも「ありがとう」とも言ってくれず、私はそのストレスのためウツが悪化し、また片手間とはいえオーバーワークだったので退職した。

 

 退職してからも私は私の仕事を引き継ぐ者たちのために「せめてiPhoneを買ってあげてほしい」と社長に嘆願し続けた。しかし社長はまったく無視してきた。そこで私は行政(札幌市役所と北海道庁)に意見書を送った。このため行政が動き、社長は自分のiPhoneを使えと利用者に伝えた。しかし商品撮影には上位機種のiPhoneが必要で、社長のiPhoneでは用をなさない。そこで利用者たちはやむなく私物のiPhoneを使い続けているようだ。

 

 社長は高級車を乗り回し、事業所は給付金で利用者の支援をすることもなく、働く利用者は必要不可欠なiPhoneさえ買ってもらえないという現実があるのだ。

 

 経営的に本当にiPhoneが買えないのだとしたら、社長をはじめ経営陣が相当の給料をもらっているのだろう。しかし、その点はベールに包まれている。いやしくも税金で運営しているならば、透明な経営をすべきである。それができない事業所は潰すべきだ。

 

 細かいことを言えば、交通費を出さないため事業所は市内数箇所までクルマを出し送迎をしている。しかし、障害者支援といってもそれくらいなのだ。ひとり10万円分の支援にはほど遠い内容である。

 

 また「さくらトータルサービス」は陶芸班の管理がうまくできないことに悩み続けていたが、その解決策として思い切ったというかべらぼうな措置を取った。何と陶芸班を「さくらトータルサービス」から分離させ、「サードプレイス」としてB型事業所にしてしまったのである。B型事業所でも国からの給付金を受けて運営される。その給付額はA型とほぼ同額で、しかしA型のように利用者を綿密に管理する必要がないので、人件費が省け、運営しやすく儲けやすい。それが目的で陶芸班をB型事業所に移し替えたのだろう。

 

 B型事業所になると利用者に支払う賃金はごく少額でよいことになっている。多くのB型事業所では利用者ひとりにつき1日なんと300円程度(誤字ではない)で働かせている。「サードプレイス」ではもっと多く払っているだろうとは思うが、利用者にしてみればA型の「さくらトータルサービス」時代と比べれば月収は減っているに違いない。

 

 管理しにくいからといって利用者の収入が減ってもA型からB型に移管してしまうというこういうやり方が障害者支援だろうか? 私には、管理しにくい利用者を辞めさせるための措置に思えてならない。

 

 ほとんどの利用者にとって障害者就労継続支援事業所は最後の砦のような存在である。障害者が働ける場はあまりないからだ。だから、不満があったとしても利用者はなかなか辞められない。経営陣に不正があるとわかっていても指摘もできない。それをいいことに経営陣は利用者をいいように扱う。

 

 これが障害者支援だろうか? そもそも支援などする気はないのだろう。「さくらトータルサービス」は給付金を返上すべきだろう。でなければ税金ドロボーである。

 

 「さくらトータルサービス」は社会福祉事業所を名乗っているが、これが社会福祉だろうか? 障害者就労継続支援事業所は障害者の就労を助けるための存在のはずだが、そうなっているだろうか? 私には、福祉の名を借りて金儲けしているようにしか見受けられない。事業所を経営していくには最低限の収入は必要である。そう、最低限だ。それ以上はもらうべきではない。何しろ税金なのだ。利用者のために尽くすことこそ本分であるはずである。そうでない連中に給付金など渡すべきではない。

 

 日本には数多の障害者就労継続支援事業所がある。それらの実態も大同小異のようだ。「さくらトータルサービス」の社長は高級車に乗ることがステイタスだと感じているようで、他の親しい事業所の社長が外車などで来社すると「あらまあ、儲かっていていいわねえ」などと言う。どうも障害者就労継続支援事業所の経営者は相当儲かっているようで、多くが高級車に乗っているようである。

 

 こういう人が福祉事業に関わっていていいものだろうか? こういう人に障害者就労継続支援事業所を経営させている行政のあり方はどうなのだろうか? 税金の使い道としてこの業界のあり方は世論を納得させられるだろうか?

 

 私には給付金を取るための詐欺に思えてならない。

 

 そう考えている私は「もう二度と障害者就労継続支援事業所では働かない」と決めた。ところが千歳でまた暮らし始めてから冬場の光熱費の高さに悲鳴を上げ、やむなく千歳の「ジョブタス千歳雄勇舞事業所」(「帆の風」と同系列)で働き始めている。ここはB型だが日給を950円くれる。しかもアパートの前までクルマで送迎してくれる。それで思い切ったのだ。

 

 しかしこの「ジョブタス千歳雄勇舞事業所」も給付金目的で、就労支援など何もしない。つまり税金ドロボーである。

 

 国は障害者のセーフティネットとして障害者就労継続支援事業所の制度を作ったのだと思うが、この制度で得をするのは障害者ではなく経営者である。行政も政治家もそのことに気づいて対策を打ってほしい。

 


〈この意見書は、厚労省、北海道庁、札幌市に送ってある〉

 


【ダイエット記録】0.1キロ減った。あと6.5キロだ。