昭和40年代後半の今治港の賑やかな回想です。
早朝、大阪、神戸からの観光船や、大型フェリーが相次いで、到着します。
5時頃、まずは、関西汽船の観光船‘あいぼり丸’が、高音の美しいロング汽笛を鳴らしながら、入港して来ます。日の出前のまだ暗い内から、今治港横の魚市場は、もう、活気のある売り子の声が響き渡り、業者や、一般客で、賑わっています。
6時頃、関西汽船の大型フェリー‘ゆふ丸’の入港です。第一桟橋への接岸です。
この船は、フェリーなのですが、今治港では、旅客のみです。でも、多くの人が乗り降りして、朝から、港務所は賑わっています。今治桟橋バスターミナルからは、壬生川、西条、新居浜、松山方面へ、頻繁にバス便が出ています。港前から、続く、今治銀座も、早朝から、喫茶店や、お土産屋さん等、多くの店が開いていて、賑わっています。
ちょうど、三原行きの国道フェリーが、出航です。続いて、向かいの大島行き、フェリーも出航して行きます。どの船も、出航時には、ぷっぷっぷっ、っと三回、汽笛を鳴らして出航して行きます。当時は、港といえば、汽笛でした。今治の街中に響き渡っていました。
ゆふ丸が、松山、別府に向い出航して行くと、代って、神戸からの大型フェリー‘ほわいとさんぽう’が、入港して来ました。重低音の汽笛です。真っ白な大きな船体は、今治港のシンボルです。私がまだ、小学生のころ、父と魚市場に買い物に来ると、市場に面して、大きな迫力のある、船体が見えていました。
これから、朝の入出港ラッシュです。(続く)