源氏物語イラスト訳【夕顔303】右近を
右近を、「いざ、二条へ」とのたまへど、
「年ごろ、幼くはべりしより、片時たち離れたてまつらず、馴れきこえつる人に、にはかに別れたてまつりて、いづこにか帰りはべらむ。…」
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【源氏物語イラスト訳】
右近を、「いざ、二条へ」とのたまへど、
訳)右近に向かって、「さあ、二条へ」とおっしゃるが、
「年ごろ、幼くはべりしより、片時たち離れたてまつらず、
訳)「長年の間、幼うございました時から、片時もお離れ申し上げず、
馴れきこえつる人に、にはかに別れたてまつりて、
訳)慣れ親しみ申し上げたお方に、急にお別れ申し上げて、
いづこにか帰りはべらむ。…」
訳)どこに 帰っ たらよいのでしょうか。…」
【古文】
右近を、「いざ、二条へ」とのたまへど、
「年ごろ、幼くはべりしより、片時たち離れたてまつらず、馴れきこえつる人に、にはかに別れたてまつりて、いづこにか帰りはべらむ。…」
【訳】
右近に向かって、「さあ、二条へ」とおっしゃるが、
「長年の間、幼うございました時から、片時もお離れ申し上げず、慣れ親しみ申し上げたお方に、急にお別れ申し上げて、どこに 帰っ たらよいのでしょうか。…」
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■【右近(うこん)】
■【を】
■【いざ】
■【二条(にじょう)】
■【へ】
■【と】
■【のたまへ】
※【のたまふ】
■【ど】
■【年(とし)ごろ】
■【幼く】
※【幼(をさな)し】
■【はべり】
■【し】
■【より】
■【片時(かたとき)】
■【たち離れ】
※【たち離(はな)る】
■【たてまつら】
※【たてまつる】
■【ず】
■【馴れ】
※【馴(な)る】
■【きこえ】
※【きこゆ】
■【つる】
■【人】
■【に】
■【にはかに】
※【にはかなり】
■【別れ】
■【たてまつり】
※【たてまつる】
■【て】
■【いづこ】
■【に】
■【か】
■【帰(かへ)り】
■【はべら】
■【む】
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幼い時から夕顔のもとにお仕えしていた右近――
おそらく、惟光と光源氏との関係と同じく、
夕顔と右近は、乳兄弟だったのでしょう。
こういう会話文のあたりからも
2人の関係性が分かってきておもしろいですよね!