【帚木459-1】とばかりものも
【古文】
とばかりものものたまはず、いたくうめきて、憂しと思したり。
「帚木の心を知らで園原の
道にあやなく惑ひぬるかな
聞こえむ方こそなけれ」
とのたまへり。
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【源氏物語イラスト訳】
とばかりものものたまはず、
いたくうめきて、憂しと思したり。
訳)ひどく嘆息して、つらいとお思いになっている。
「帚木の心を知らで
訳)「近づけば消えるという帚木(のような、あなた)の心をも知らないで、
園原の道にあやなく惑ひぬるかな
聞こえむ方こそなけれ」とのたまへり。
【古文】
とばかりものものたまはず、いたくうめきて、憂しと思したり。
「帚木の心を知らで園原の
道にあやなく惑ひぬるかな
聞こえむ方こそなけれ」
とのたまへり。
【訳】
「近づけば消えるという帚木(のような、あなた)の心をも知らないで 園原への
道に、むなしく迷い込んでしまったなあ。
申し上げるような方面もない」とおっしゃった。
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■【とばかり】
■【も】
■【のたまふ】
■【ず】
■【いたし】
■【うめく】
■【て】
■【憂(う)し】
■【と】
■【思(おぼ)す】
■【たり】
■【帚木(ははきぎ)】
■【の】
■【心】
■【も】
■【知る】
■【で】
■【園原(そのはら)】
■【の】
■【道(みち)】
■【に】
■【あやなし】
■【惑(まど)ふ】
■【ぬる】
■【かな】
■【聞こえ】
※【聞こゆ】
■【む】
■【方(かた)】
■【こそ】
■【なけれ】
■【と】
■【のたまふ】
■【り】
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☆本日の『源氏物語』☆
ここで初めて、巻名の「帚木」が出てきました!
ヽ(゚◇゚ )ノ
「帚木」とは、信濃の国の園原にある木です。
遠くで箒(ほうき)のような梢が見えても、
近づいたら見えなくなる…
「逃げ水」のような、不思議な木です。
空蝉を帚木に見立てているのですね;;
(´・ω・`)