天地真理さんがデビューされた1971年、フジテレビ日曜19時半カルピス提供の枠で虫プロ制作のアニメ『アンデルセン物語』が放送されています。この中でもこの作品、取り上げられているのを発見しました。

山田康雄と増山江威子という新ルパン三世コンビによる妖精キャンティとズッコが登場し、本来のアンデルセンの童話と少し筋書きがちがったりしている作品です。覚えているかたもいらっしゃると思います。その第20回でこの『コマとマリ』が、『なかよしはいつまでも』というタイトルで放映されています。今回ネット検索をする中で見つけました。


アンデルセン物語20回 「なかよしはいつまでも」
https://www.youtube.com/watch?v=4LJn6wesk78




omegamanさんが、隊長日記というブログでこの作品にふれられています。
http://geronimo.megaforce.org/?eid=424413 

以下のような内容です。
「金持ちの坊っちゃんに拾われた汚れた独楽のこま吉。そして彼が放り込まれた子供部屋の玩具達の中で、女王然とする鞠のまり子。自分は燕と結婚して幸せになると公言するまり子に憧れ、彼女の為に命を賭けて闘い、日々努力するこま吉。しかしある日空高く跳ね上がったまり子は、そのまま姿を消してしまう。自分も燕の国に行くんだと高く跳ねる訓練を繰り返したこま吉は町内の独楽回し大会で優勝し、キンピカに塗装し直してもらい、玩具達の頂点に立つ。
そんなある日、彼は誤ってどぶの中に落ちてしまう。そこで再会したのが、汚れてブヨブヨに歪みまくったまり子さん。彼女は相手がこま吉だと気づかず、自分が昔は大切にされていた事を延々と語る。こま吉が正体を明かそうとした瞬間、人間の声がして、どぶの中に手が伸びてくる。その手に縋ろうとするまり子。しかし手はこま吉だけを掴んで去っていく。置いていかれるまり子に、「こま吉に会ったらまり子の事を伝える云々」と叫ぶこま吉。
で、その後こま吉はあれがまり子だとは認めず、まり子は燕の国に行ったんだと思い込み、それを見ていたキャンティとズッコも、まり子は幸せになったのよ云々と無理矢理取り繕って終わり。」


それからomegamanさんは、「いや、ディズニーの人魚姫みたいにハッピーエンドにすればいいという訳ではないけれど、疲れている時にこの話はきついですわ。ささやかな幸せも、つかの間の安らぎも、全ては幻想に過ぎないと言った嫌がらせのような話ですな。」と感想をのべられています。

このアニメの最後コマ吉は、変わってしまったマリ子を「あのテマリさんは、マリコさんなんかじゃない。 マリ子さんは、空の鳥の世界にいったんだ。」と思い込みます。

そしてズッコとキャンティは、最後つぎのような会話をします。
ズッコ 「あのコマ、本当にマリコさんが好きだったんだね。」
キャンティ 「それはそうよ」
ズッコ 「でも鳥の世界になんかいかなかったんだね」
キャンティ 「うそよ マリ子さんは、コマ吉くんの心の中でとっても幸せになっているのよ」
ズッコ 「うーん そうだね」

コマ吉は、ごみ箱の中で会った現実のマリコを「あのテマリさんは、マリコさんじゃない」と否定し、彼の心の中でマリコさんは幸せになっているとかってに思い込むことで満足してしまうのです。キャンティとズッコもまたこのコマ吉に共感するのです。ただしマリ子に感情移入してしまうと、ほんとうにやりきれない残酷な話です。ただ前回書いたようにコマ吉が、大好きだったマリ子さんを助け出し、2人で幸せになれるような話は、アンデルセンには、つくれなかったのです。


かつての天地真理に熱狂したファンではなれていった人たち。その後の天地真理さんから、コマ吉君のような感情をもたれた方、いらっしゃるのではないでしょうか。水色の恋にあるように「あなたの姿 あなたの声は いつまで わたしの想い出に」。あの天地真理さんを忘れるわけがないのです。あれだけ青春時代に熱狂した人たち。自らの青春を否定することになるのですから。ただ心の中での想い出としてだけでいいのでしょうか。現実に元気に生きている天地真理さん、その存在そのものがありがたいことです。特に1年前の夏、宇多田ヒカルのお母さんの藤圭子さんがなくなりました。真理さんを昼間に輝く太陽とするなら、夜の月灯りのような存在の歌姫でした、藤圭子さんが少しデビューは、早かったと思いますが。ほぼ同時代の歌姫でした。最後幸福とは言えない、なくなり方だったと思います。真理さんには、幸せの中で長生きしてほしいものです。


この「なかよしは、いつまでも」の最後のシーンで、コマ吉とマリコさんの2人がしあわせそうに空を飛び、踊るシーンがあり、コマ吉君がマリ子さんを想う歌うが、流れます。

「可哀想な 可哀想な 可哀想な女の子だもん
 この僕が一生懸命愛してあげれば、彼女はうんと幸せになれる
 もっともっとしあわせになれるはず
 好きなんだもん 好きなんだもん しょうがないじゃない 
 愛しちゃったもん 愛しちゃったもん しょうがないじゃない。
 ちょぴりいじわる ちょぴりわがまま ちょっぴりへそ曲がりな女の子だもん
 この僕が一生懸命愛してあげれば、彼女はうんと幸せになれる
 もっともっとしわせになれるはずだ。」

輝く太陽のように多くの人に幸せをくれた天地真理さん。少し年をとった小人たちが、今度は真理さんに幸せをあげることができる現実が、存在するのです。天地真理さんは、人魚姫でもこのマリ(毬)でもなく、やはり白雪姫なのです。困難の中何度も復活し、私たちの前に現れてくれています。ありがたいことなのです。現在はファンクラブが新たに結成され、新曲「秋にあなたと」を発表され、45周年へ向かって、歩まれているのです。


次は「その後の天地真理さん」について、私の想いを少し書いてみましょう。うまく書けるかどうか自信ないのですが。(続く)