アンデルセンの童話は、理不尽で残酷な話がけっこうありますと書きました。

例えば『人魚姫』は、残酷なラブストリーです。王子様を救った人魚姫は、王子様に恋をしてしまい人間になりたいと思うのです。魔女との約束で人間になるのですが、代わりに声帯を失ってしまいます。その後人魚姫は、王子様のそばでお仕えできるという幸運に見舞われながら、その事実や自分の気持ちをつかえることができないで苦しみます。王子様は、人魚姫が自分を救った恩人であるということにまったく気づきません。そして別の女性を恩人と思い込み、その女性と結婚してしまいます。



http://www.geocities.jp/mybluesky131/marine.html より抜粋します。



「人魚姫は、海の魔女から自分の声と引き換えに尻尾を人間の足に変える飲み薬を貰い、その時に、「もし王子が他の娘と結婚するような事になれば、姫は海の泡となって消えてしまう。」と警告を受けるのです。更に、人間の足だと歩く度にナイフで抉られるような痛みを感じる事になるとも・・・。魔女は、人魚姫の舌を切り取りました。」



ラストの場面です。

「悲嘆に暮れる人魚姫の前に現れた姫の姉達が、髪と引き換えに海の魔女に貰った短剣を差し出し、王子の流した血で人魚の姿に戻れる事を教えました。」

「人魚姫は、お姉さんたちから渡されたナイフを手に取り、花嫁と花婿が眠る部屋へとそっと入っていきました。自分か王子か、どちらかが死ななければならなのです。
 

 王子を殺せば、自分はもとの人魚に戻れます。夢は叶わなかったが、死なずにはすみます。部屋へ入ると、美しい花嫁が、王子の胸に頭をもたせかけて眠っているのが見えました。人魚姫は、身をかがめ、王子のその美しい額にキスをしました。空を見上げました。夜明け前の赤い光は、しだいに明るくなって来ます。ナイフを見つめ、王子を見つめました。その時、王子は、夢を見ながら、花嫁の名を呼びました。人魚姫の手の中で、ナイフがぴくっと震えました。
 

 次の瞬間、人魚姫はナイフを波の彼方へ投げ捨てたのです。
 波は、赤く輝いて、血のしずくが水の中から泡立つように見えました。夜明けが近づき、人魚姫の身体は、すでに死へと向かいつつあります。その目は、半ばかすんでいます。人魚姫は、王子を一度だけ見つめ、海の中へ飛び込みました。

(話は、もう少し続きますが・・・)



どうでしょうか。『人魚姫』、心が痛むというのかトラウマになりそうな悲しいお話です。むしろ最後人魚姫が、王子様を刺し、自殺するとしたほうが、読者はすっきりしたのではないのかとすら思います。いずれにしても残酷なラブストーリーです。グリム童話は、描写が残酷だと言われます。アンデルセンの童話は、ストーリーが残酷です。人の心を突き刺すような残酷さを感じるられるのです。



たかしゅんさんがブログで、ジャーナリストの本多勝一氏のアンデルセン批判を含めて言及され、その特色をまとめられています。

http://takashun.doorblog.jp/archives/1001025418.html



このアンデルセンの作品で、それほど有名でない作品で『コマとマリ』 『なかよし』 『おさななじみ』、 こういったタイトルが付けられている短編の作品があります。小学生の時に読んだ記憶があり、すごくかわいそうな話として記憶に残っています。ある意味では、『人魚姫』以上に残酷な話です。

この作品に「マリ(マリ子)」が登場します。玩具の毬なのですが、天地真理さんのファンまたはご存知の方であれば、このマリ(マリ子)と天地真理さんが、ダブって見えたりするのではないでしょうか。このことを2ちゃんで書いておられるかたがいらっしゃいました。次回この話です。(続く)