辻村深月
『かがみの孤城』
( ポプラ社 、2017 )
本屋大賞にも選ばれたということで最近あちこちで目にするようになり、気になって読んでみました。
<ストーリー>
ある共通点から鏡の中の城に集められた7人。1つのミッションを告げられ、それぞれ現実世界で抱える悩みと向き合いながら約1年間過ごし、ラストには驚きの真実が明らかになります。
◆リアルなやりとりと気持ちの描写
些細なことがきっかけでそれまでの人間関係が簡単に崩れることは現実でもよくあります。
主人公のこころもある出来事がきっかけで学校に行けなくなってしまいます。
信じてほしいとどんなに願って伝えようとしても、その思いが届かない。
それが分かった時の周りの大人に対する不信感、失望、諦めの気持ちの描写がリアルでした。
特に担任とのやりとりに注目していただきたいです。
物語の最初の頃はそれらの思いがこころの胸の内で弾けているという印象でしたが、城の仲間との関わりを通じて段々と人に打ち明けられるようになっていったように思います。
◆緻密な伏線と予想を超えていく回収
実は早い段階でいくつかの伏線回収の予想ができていました
でも、分かっていてもいざ真相の場面になると鳥肌が止まらなかったのです。
それくらい、辻村深月さんの表現の仕方に魅了されました。
もちろん、そこまでは予想できなかった〜!というものも沢山あり、物語が次々と繋がっていく気持ち良さを感じられると思います!
特に、終盤は波が押し寄せるように何度も何度も胸があたたかくなりました
◆読了後も想像して楽しめる
ネタバレはしたくないので簡単に
全てが明らかになり本を閉じた後、読者はきっと想像を膨らませると思います。
その想像が、願いが、この作品をさらに生き生きとさせる最後の伏線になったら素敵だなと思いました。
550ページほどありますが隙間時間でサクサク読めました!
ゆっくりでもいいので最後の最後まで読むべき本だと思います。
余談ですが、地元の図書館では予約がいっぱいで、これは読むのが随分先になるな〜と思っていたところ、大学の図書館ですんなりと借りられてラッキーでした
読んでいただきありがとうございました