2015年12月03日木曜日 河北新報
<もう一度会いたい>娘2人と無念の対面
(※記事内の名前は仮名です)
ひとみさんが震災2カ月前に、
長女の利香さん当時(18歳)と
次女の真衣さん当時(16歳)たちと
撮ったプリクラが最後の家族ショットとなった。
■苦しんだ姿を思い涙
遺体安置所に横たわる次女の顔は別人のようだった。
頬の皮膚がふやけている。
長く水に漬かっていたせいだ。
宮城県石巻市の千葉ひとみさん(45歳)と
夫、隆司さん(53歳)の次女=当時(16歳)は
震災19日目に発見された。
家の向こうの富士沼に沈んでいた。
ひとみさんは本人だと納得していない。
■我流で化粧
遺体の口を開けてみる。
上の前歯の先っちょに治療の痕があった。
「ああ」真衣だ。
次女は小学生の時、
教室の掃除中にオルガンに顔をぶつけ、
歯を欠いたことがある。
白のパーカを着ていた。
泥で黒ずんでいる。
首回りにあるビーズアクセサリーのデザインが
お気に入りだった。
遺体は検視を終えた。
裸で引き渡された。
遺体が多く、死に装束が手に入らない。
バスタオルで体をくるんだ。
納棺師も手配できない。
我流で死に化粧を施した。
パフでファンデーションを塗ろうとすると、皮がめくれる。
ベビーパウダーを当てて
おしろいの代わりにした。
震災の時、家には真衣さんのほか、
長女の利香さん当時(18歳)、
同居する夫の父(77歳)と母(70歳)がいた。
父は真衣さん発見の2日前に見つかり、仮埋葬している。
地元の火葬場は、依然空きがない。
秋田県湯沢市の施設を押さえ、
荼毘(だび)に付した。
■口の中に泥
長女、利香さん発見の知らせはその時に届く。
震災25日目。母も同じ日に見つかった。
ひとみさんと隆司さんは
次女の骨を急いで骨箱に収め、
車で引き返した。
利香さんの遺体は傷んでいた。
右の耳の付け根が少し溶けている。
もう4月で気候が緩みだしていた。
腐乱の兆候が見えても無理はない。
石巻西高校のジャージの下の方をはいていた。
この子の学校だ。
「千葉利香」の刺しゅうが縫い付けてある。
監察医から死体検案書が渡された。
<口腔内に木片、泥入る>
濁流にのまれ、
もがき苦しんでいる姿が目に浮かぶ。
床に膝を打つ音がした。
夫が泣き崩れていた。