「言ったのに、やってくれない」
子どもや家族、職場のメンバーに、そんな経験はありませんか。
私には、覚えのある感覚です。
そして、なぜそうなるのか、大学時代のある出来事を通して気づいたことがあります。
当時、私は奈良の定期観光バスで、学生バスガイドをしていました。
法隆寺、薬師寺、唐招提寺をめぐる、一日がかりの観光コースです。
その頃の私はワンダーフォーゲル部に入っていて、夏は登山、春などには分解できる自転車を担いで、仲間と北海道から沖縄まで旅をしていました。
今思えば本当に「貧しい若者の旅」で(笑)、テントを持って泊まりながら、日本各地を回っていました。
自転車が動かなくなって、駅まで押して歩いたこともあります。
そんなふうに、旅先では、地元の方に親切にしてもらう経験を何度もしていました。
私は奈良に住んでいました。
「せっかく観光地の奈良に住んでいるんだから、今度は自分が、来てくださる方をおもてなしをしたい」
そんな気持ちから、学生バスガイドに応募しました。
覚えることは山ほどあり、試験にはなかなか受かりませんでした。途中で辞めていく人もいる中、それでも続けられたのは、旅先で受けた親切を、今度は奈良に来てくださる方に返したい——そんな気持ちが強かったからです。
このバスガイド時代に、今でも心に残っている出来事があります。
このコースの道は一車線が多く、観光シーズンはとても混みました。
渋滞してしまうと、走って遅れを取り戻すことができません。
でも、お客様の中には、この後の特急や新幹線を予約している方もいます。
だから、集合時間はその日、その場所ごとに、ベテランドライバーさんと相談して決めていました。
ある日、集合時間になっても、一人の女性のお客様が戻ってこられませんでした。
私はやきもきしました。他のお客様は待っています。この後の道も混んでいます。
しばらくして戻ってこられたその方に、一緒にいたご主人が「みんなを待たせているんだから」と諭してくださいました。
どう伝えようか迷いながら待っていたところだったので、心からほっとしました。
滅多に来られない法隆寺や薬師寺を、「もう少し見たい」と思う気持ちは、よく分かります。観光シーズンで自由見学の時間を短くせざるを得ない時は、心苦しかったです。
ただ、一人が遅れることで、他のお客様の予定が大きく変わってしまうことがあります。
もちろん、それまでも「○時までに戻ってきてください」「この後、新幹線を予約されている方もいらっしゃいます」ということは、お伝えしていました。理由自体は、もともと言っていたんです。
それでも、言葉が心に残る時と、たくさん説明を聞いているうちに、すーっと流れてしまう時がありますよね。理由を伝えていたはずなのに、夢中になって戻ってこられない方が、いらっしゃったんです。
だから私が変えたのは、「理由を言うか言わないか」ではなく、その理由が、心に届くように、伝え方を工夫するようになったことでした。
道が混みやすいこと。急いでも時間を取り戻せないこと。この後、新幹線を予約されている方がいること。同じ内容でも、「なぜ、この時間に戻ってきてほしいのか」が、相手の心にすっと入っていくように——そんな伝え方を、少しずつ意識するようになった気がします。
「ルールだから守ってください」ではなく、「なぜ、その時間を守る必要があるのか」が届くように。
今振り返ると、これが今の自分にも、意外とつながっている気がします。
何かをお願いする時、私はただ「こうしてください」と言いたいわけではなくて。
どうしてそうするのか。それによって誰が安心できるのか。
その場にいるみんなが心地よく過ごすために、何が必要なのか。
そこまで、伝わるように伝えたいと、試行錯誤しています。
そういえば、最近「言ったのに」と感じた出来事、ありませんでしたか。
言葉を言ったかどうかより、その"なぜ"が届いたかどうか。それが大事なのかもしれません。
📷 平成2年8月9日、法隆寺にて。定期観光バスの団体記念写真より。
🍊 心がほっとする飲茶会 in 銀座
日時:2026年9月26日(土)12:30〜15:00
場所:東京・銀座(銀座駅から徒歩3分・中国薬膳料理店)
内容:体に効く食材を使った飲茶のコースを、ゆっくり味わっていただきます
ゲストスピーカー:しあわせ写真家 玻璃(はり)さん
定員:最大8名
子どもや家族、職場のメンバーに、そんな経験はありませんか。
私には、覚えのある感覚です。
そして、なぜそうなるのか、大学時代のある出来事を通して気づいたことがあります。
当時、私は奈良の定期観光バスで、学生バスガイドをしていました。
法隆寺、薬師寺、唐招提寺をめぐる、一日がかりの観光コースです。
その頃の私はワンダーフォーゲル部に入っていて、夏は登山、春などには分解できる自転車を担いで、仲間と北海道から沖縄まで旅をしていました。
今思えば本当に「貧しい若者の旅」で(笑)、テントを持って泊まりながら、日本各地を回っていました。
自転車が動かなくなって、駅まで押して歩いたこともあります。
そんなふうに、旅先では、地元の方に親切にしてもらう経験を何度もしていました。
私は奈良に住んでいました。
「せっかく観光地の奈良に住んでいるんだから、今度は自分が、来てくださる方をおもてなしをしたい」
そんな気持ちから、学生バスガイドに応募しました。
覚えることは山ほどあり、試験にはなかなか受かりませんでした。途中で辞めていく人もいる中、それでも続けられたのは、旅先で受けた親切を、今度は奈良に来てくださる方に返したい——そんな気持ちが強かったからです。
このバスガイド時代に、今でも心に残っている出来事があります。
このコースの道は一車線が多く、観光シーズンはとても混みました。
渋滞してしまうと、走って遅れを取り戻すことができません。
でも、お客様の中には、この後の特急や新幹線を予約している方もいます。
だから、集合時間はその日、その場所ごとに、ベテランドライバーさんと相談して決めていました。
ある日、集合時間になっても、一人の女性のお客様が戻ってこられませんでした。
私はやきもきしました。他のお客様は待っています。この後の道も混んでいます。
しばらくして戻ってこられたその方に、一緒にいたご主人が「みんなを待たせているんだから」と諭してくださいました。
どう伝えようか迷いながら待っていたところだったので、心からほっとしました。
滅多に来られない法隆寺や薬師寺を、「もう少し見たい」と思う気持ちは、よく分かります。観光シーズンで自由見学の時間を短くせざるを得ない時は、心苦しかったです。
ただ、一人が遅れることで、他のお客様の予定が大きく変わってしまうことがあります。
もちろん、それまでも「○時までに戻ってきてください」「この後、新幹線を予約されている方もいらっしゃいます」ということは、お伝えしていました。理由自体は、もともと言っていたんです。
それでも、言葉が心に残る時と、たくさん説明を聞いているうちに、すーっと流れてしまう時がありますよね。理由を伝えていたはずなのに、夢中になって戻ってこられない方が、いらっしゃったんです。
だから私が変えたのは、「理由を言うか言わないか」ではなく、その理由が、心に届くように、伝え方を工夫するようになったことでした。
道が混みやすいこと。急いでも時間を取り戻せないこと。この後、新幹線を予約されている方がいること。同じ内容でも、「なぜ、この時間に戻ってきてほしいのか」が、相手の心にすっと入っていくように——そんな伝え方を、少しずつ意識するようになった気がします。
「ルールだから守ってください」ではなく、「なぜ、その時間を守る必要があるのか」が届くように。
今振り返ると、これが今の自分にも、意外とつながっている気がします。
何かをお願いする時、私はただ「こうしてください」と言いたいわけではなくて。
どうしてそうするのか。それによって誰が安心できるのか。
その場にいるみんなが心地よく過ごすために、何が必要なのか。
そこまで、伝わるように伝えたいと、試行錯誤しています。
そういえば、最近「言ったのに」と感じた出来事、ありませんでしたか。
言葉を言ったかどうかより、その"なぜ"が届いたかどうか。それが大事なのかもしれません。
📷 平成2年8月9日、法隆寺にて。定期観光バスの団体記念写真より。
🍊 心がほっとする飲茶会 in 銀座
日時:2026年9月26日(土)12:30〜15:00
場所:東京・銀座(銀座駅から徒歩3分・中国薬膳料理店)
内容:体に効く食材を使った飲茶のコースを、ゆっくり味わっていただきます
ゲストスピーカー:しあわせ写真家 玻璃(はり)さん
定員:最大8名
参加費:15,000円(税込・事前振込/著書2冊つき)










