集合的無意識は、
カール・グスタフ・ユングが提唱した
分析心理学における中心概念であり、
人間の無意識の深層に存在する、
個人の経験を越えた先天的な構造領域である。

個人的無意識の対語としてあり、
ユングはジークムント・フロイトの精神分析学では
説明の付かない深層心理の力動を説明するため、
この無意識領域を提唱した。

共同幻想とは、
複数の人間の中で共有される幻想の事。

日本の思想家である吉本隆明が用いたことで
有名となった言葉である。
ただ吉本は、自分の共同幻想とは、
カール・マルクスの用語である上部構造と同じ意味であり、
ただ手垢がついているから使いたくなかったと述べている。


ユングも隆明も「的を射ていない」のが残念です。

例えば、国家」「貨幣」「宗教など
「実在しない」にもかかわらず、
多くの人々に「存在する」と信じられている事柄をこそ、
私は共同幻想と呼びたいのです。



コンプレックスの概念を見出したユングは、
個人のコンプレックスより更に深い無意識の領域に、
個人を越えた、集団や民族、人類の心に普遍的に存在する
と考えられる先天的な元型の作用力動を見出した。

元型の作用と、その結果として
個人の夢や空想に現れうる種の典型的なイメージは、
様々な時代や民族の神話にも共通して存在し、
このため、元型や元型が存在すると仮定される領域は、
民族や人類に共通する古態的(アルカイク)な無意識と考えられ、
この故に、ユングはこの無意識領域を「集合的無意識」と名づけた。

もちろん、これらは決して「先天的」なものではないのです。