戸田建設と村田製作所は、
2018年8月より改良を進めてきた建設作業者の生体情報や周囲環境を
ヘルメットに取り付けたセンサーデバイスでリアルタイムに監視する
「作業者安全モニタリングシステム」を共同開発し、販売を開始した。
■作業者の熱ストレスを分析し、アラート通知
システムは、センサー技術とIoTを活用し、
作業者の生体情報と作業環境をリアルタイムに計測して、クラウド上で解析。
脈拍、活動量、温度、湿度などのデータから熱ストレスがある場合と判定した場合は
アラートが現場管理者などに送信され、作業員の安全管理に役立つ。
システムは、ヘルメット型のセンサーデバイス、
920MHzの免許を必要としない特殊無線で
受け取ったデータを集約しクラウドに送るゲートウェイ、
センサーデバイスのデータを中継する中継器、
独自のアルゴリズムで解析するクラウドで構成。
このうちセンサーデバイスは、
市販ヘルメットの内バンドに装着する生体情報測定部と、
ヘルメット後部に装着する外部環境の測定部から成る。
イスラエルElfi-Tech製のソフトウェアと
村田製作所のセンサー設計と応用技術を組み合わせた生体情報測定では、
脈拍や活動量(加速度)、一方の外部環境では温度、湿度を測る。
収集したデータを解析するクラウド上の判定アルゴリズムは、
村田製作所、戸田建設、豊橋技術科学大学の共同研究で開発した。
システムは既に戸田建設の施工現場で実証し、
測定部の位置や小型化などの改良を重ね、
作業者が違和感なく装着できるセンサーデバイスとして完成した。
通信環境も、2万平方メートルの敷地と10階建ての現場でスムーズな稼働が確認され、
直近の2019年5月には200人規模の建設現場で本格稼働がスタートしている。
導入にあたっては、センサーデバイスを含めた
ハードウェア費用とクラウドサービスの利用料がかかる。
流れとしては、事前に村田製作所のスタッフが、
現地でトライアル導入セットを使用して
検知対象範囲や電波環境の測定などを行った後に、
導入費用の見積もりを提示する。
これまでにも両社は、クラウドの利用環境を整え、
アラートを出すロジックの改善やセンサーデバイスの
作業者への貸し出し、登録、返却、ゲートウェイとの
ペアリングといった一連の利用しやすさを改善させてきた。
そのため、本格導入前にヒアリングや使用環境を確認して、
ユーザーそれぞれの課題に合った提案をするとしている。