やっと正気に戻った私はすぐに立ち止まり、もう一度辺りを見回した。そこには虫一匹見られなかった。

―少しでも気を紛らわしたい、もう帰れないなんて思いたくない。―

私は安心したい一心で、自分以外の生き物を見つけ出そうと体をかがめた。

と、その瞬間 ゴン!ドンッ という痛々しい音が響き、

続いておでこ、脳に、その振動と

脳からは”痛い”という指令が発せられ

体がそれに応じて痛みを引き起こした。

「痛~い!!」

頭に当たったことで痛みはより大きく私に襲いかかった。


けれど、当てられた方も痛かったようで

「ん~、痛いのぅ。年寄りなんじゃから少しは加減してくれんか。」

という声がした。


くらくらしながらも、その声の主を探すと・・・・

それはなんと、大きな大きな大木木だったのだ!


(なぜ木がしゃべれるの? それに、こんなに大きな木・・・見たことないよ。  もう、不思議なことばっか!)


けれど不思議がっている場合ではない。早くしなければアイメイが閉じてしまうのだ。


「あ、あのぅ、私は妖精界から来たコロッコといいます。」

「ほぉ。 ん?妖精界? ここは、人間という動物が支配している世界じゃぞ。」


その一言を聞いたとき、自分がアイメイに落ちた、ということが100%の事実であることが明らかになり、

私の体からは何だか熱いものがこみ上げてきた。

(・・・でも、まだ妖精界に戻る方法はあるもん!)


「・・・・あの・・アイメイという穴を・・・知りませんか?泣き虫きらり

「ZZzz.......」

ん?   木は、なんと寝てしまっていた!

(もっともっとここのことを知ってアイメイを探す手がかりを見つけたいのに。 動物も何もいないここじゃ、この木としかしゃべれないのに。 寝ちゃうなんて!) 

怒りとともに、一人の友達がいなくなってしまったような寂しさを覚えた。

けれど起きるのを待っていても日が暮れてしまう。

そんなことになったら、もうアイメイを探すことができなくなってしまう。


そこで私は、いつもの探検だ、と自分に言い聞かせた。そしてはじめに目に入った、ひとつの小さな林を目指して歩き始めた。・・・・・


  気がつくとそこは森の中。赤ずきん1

(よかったぁ、死ななかったんだ。  あれ?でも、待ってよ。私は山を下ったはずだから、その先に森はなかったはず。  ん?なんで??)

あまりに急な出来事だったので、ひとまず頭の中を整理することにした。

 <まずお母さんにおつかいを頼まれて、ハクじいさんのところへ行ったらお礼に「ヒミツの花園」を教えてくれて、歩いて山を下ろうとして、羽ばたいたら落ちて・・・・・・。>

(う~ん、なんか穴のような口のようなのの中に入ったような気がしなくもないなぁ。  でもまあ、今ここにいるわけなんだよね。ここはどこなのかなぁ。)

辺りをぐるっと見回すと、ここが妖精界ではないことがはっきり分かった。

遠くのほうにとても大きな家がかたまって建っていたからだ。

(まって。 もしかして、私は「アイメイ」っていう穴に落ちちゃったんじゃないかな・・・。女の子(青ざめる)


  この話は友達のハルちゃんがしてくれたことなのだが、アイメイは百年に一度急に現れ、またその日のうちに消えてしまうという穴で、この穴に落ちてしまうと世界のどこかに飛ばされ、帰ってこれなくなる、という恐怖の穴だと聞いたことがある。


(っていうことは、私はもうみんなに会えないの?一生このわからない所で生きなきゃいけないの?そんなの嫌だ、嫌だよぉ~!)

もうアイメイに落ちたんだという恐怖から、私は無我夢中で走り出した。

途中で顔や腕を枝で切ってしまったり、石につまづいたりと、ボロボロになるまで走って走って 走りまくった。

と、その時目の前から何かが飛び出した!

私の心は、一瞬金縛りにあったように動かなくなった。

(ここはどこ?この世界には、私と同じ妖精はいるの? 今のは何??)


今までで一番の遠出となるため、どんなことが起こるのかとてもワクワクしながら歩いた。


 ずっとずっ~っと平らな道を延々と歩き、もう自分の村がノミより小さいかと思えるくらいの大きさになったところででんっ!と山がそびえ立った。普通の山より木が小さく、地面はぬかるんでいて、ときどき転びそうになったり、岩の上で休んでいたら急に岩が沈みだしたり・・・・・と、それは大変な試練続きだった。

  頂上についてから辺りを見回すと、休めそうな場所がひとつもない。

それなら(一気に山を下ってしまおう。)と思った私は、足を踏み出そうとしてびっくりしてしまった。

なぜなら、そのすぐ下は足場のない崖っぷちだったからだ!!

けれど、こんなことで諦めるような性格ではない。私は探検では使ったことのないことを、ここで初めてやることに決めた。

ピン!ときた人もいるかもしれない。

そう、私は妖精なのだから背中には羽がある。 ということは・・・・・

私は思い切って羽を大きく揺らめかせ、目をつむり、そして、地面をけった!

  目をそっと開けると、自分の体は・・・なんと、浮いている!?fairy*

  ん? いや待って。この感覚は・・・・・落ちてる!!キャァァッ~!誰か助けてええぇぇ......