先日、ある会の記念祝賀会に列席いたしました。
賞状を贈られる方々が舞台にお並びになって、
会長から賞状と記念の品をお受け取りになっていたのですが、
その晴れやかなおめでたい場に相応しくない、少し残念に思うことがございました。
それは、会長のお側でお盆を持って介添えなさった女性の所作でした。
足を整え身を整えて、賞状の置かれたお盆を持って、
会長の斜め後ろにお立ちになっていたのですが
その大切なお盆を、喫茶店やレストランのウエイターの様に
お盆を右片手だけで下から支え持ち
(その持ち方ですから、お盆の位置は、ご自分の肘の高さ。みぞおち当たりです。)
会長が受賞者に手渡される前には、ご自分が先に、左片手でお盆の中から
その賞状と副賞をそれぞれに取り上げて、そのまま会長に片手でお渡しになっているのでした。
もちろんご本人は、少しでも早く、会長がスムーズに受け取れるようにとのお心でなさっていたと存じますが、
その所作は
おめでたい席で、その賞を贈られる受賞者に対してこころが足りないと誤解をさせてしまうものの様に感じました。

この様な場面で介添えをなさる場合、お盆は必ず両手でお持ちくださいませ。
指を揃えてお盆の両側に。円相になるように心掛けて持ち上げます。
(円相とは、 ゆったりと木を抱えるように持つことです。
 腕・手のひら・指先までが円を描いたような形になるように。
 脇を締めすぎると、緊張しているように固くなりますから、 脇の下に卵を挟んでいるような感じでゆったりと。)

物の持ち方は、目通り。肩通り・胸通りに、
座布団や重いものなど低い位置で持つ持ち方がございます。

目通り: 神への供え物、賞状など捧げ持つ持ち方。
     息がかからないように目の高さに持ちます。
肩通り: お客様に茶菓を出す時、肩の高さに。同じく自分の息がかからないように。
胸通り: 普通に物を持つ時。 胸の高さに持つ。

目通り、肩通り、胸通りは、場やご自分の立場や相手様の立場などに合わせてとなりますが
一般的には、胸の高さ、胸通りが多いようです。
しかし胸より下げて持つのはよろしくありません。軽んじているように映ります。

介添え者は、斜め後ろに控えて、身と足を整えたちますが、お贈りになる方が賞状をお盆から取り上げになる時は、
少し体を相手に近づけるとか、
ご自分の膝をおって身を低くし、取り上げやすくするなどの配慮をなさってください。
賞状を取り上げられたら、すぐに元の様に姿勢を正してお立くださいませ。
ものの扱いは、両手が基本。
物と一緒に、こころを贈ります。
心が届くように、形を整えることも大切と存じます。