ゴールデンウィークの一日、
田舎にある私の実家の片付けを手伝いに、伸子さんが来てくださいました。
娘が保育園に入園した時からのママ友なので、もう30年近くのお付き合いです。
当日は、本箱にある大量の本の整理と、お茶とお花の師範をしていた祖母が
お稽古で使っていた、こちらも大量の花器やお道具の整理。
花器などは重い上に、埃を被って何が入っているかわからない箱モノは
ひとつひとつ中を確かめながらの片付け。
ひとりでいたら、きっと途中で心が折れていましたが、彼女のお蔭でとても豊かな一日になりました。
ウイークデーはお仕事でお忙しくなさっているにも関わらず
何をお願いしても、ゆったりと話し、
朗らかに対応してくださる彼女の姿に、
改めて、彼女とご縁が繋がっていることに感謝致しました。
その中で一番感動したのが、彼女の作業の静かさです。
何冊もの本を重ねて紐をかけてまとめる。
花器や壺、道具、段ボール等、部屋から全部出して、
要るものと要らないものに分ける、その間も、
彼女の作業は、殆ど音がしないのです。
静かなので、小鳥のさえずりなど外の音も楽しみながら過ごせました。
廃棄すると伝えた物であっても、彼女は絶対に、放らない。
自分の膝を折って、腰を落として、丁寧に畳や床の上にそっと置かれるのです。
捨てる段ボールなどは、縁側の外の庭に出してと伝えておりましたが、
そこにも、同じように置かれるので、
彼女のまわりは、空気が荒れない。
しかも、丁寧であっても、効率よくテキパキと休むことなく動かれるので、
どんどん片付いていきました。
築約400年の旧家に住み、襖や障子の直しや張替えも見事にされ、
大姑、舅・姑に使え、ご親族や
従業員や取引先、地域やPTAのお役の中でも信頼され、
いつも優しい微笑みを失わず家業を切り盛りしながら、
男の子を二人育て上げられた美しい女性。
10年程前に、家業が倒産。色々あって離婚をされましたが、
彼女の優しさ、あたたかさ、美しさは変わらない。
ご両親様、特にお母様の躾が素晴らしかったことは言うまでもなく
それらの日々のすべてが、彼女の美しい人間力を高められたと存じ、
学ぶことの多い一日になりました。