先日、自転車で走っている時に、チェーンが何度か空回り。
これも修理して新年を迎えなくちゃ、と
近所の自転車屋さんに持っていきました。
あまりに古い自転車だから、ちょっと恥ずかしいなと思いながら
状態をお伝えすると、
どれどれと自転車に向き合われた自転車屋さんのおじちゃん。
愛おしそうに、その自転車のあちらこちらをさすったり撫でたり
しながら、隅々まで眺められて。
「あ~、やっぱり昔の自転車はいいなあ。
これ古いでしょ。 20年になってますな。
ここのシールで年代はわかるんですよ。
古くて、チェーンがゆるんできたりするんだけど
それは 流石にもう仕方がないところなんだけど、
いい自転車です。 しっかりしている。
丁寧に作られているいい自転車です。」
お聞きしますと、
「今の自転車は、一流メーカーの高級自転車でも
部品もみんな海外で作っているから、すぐにゆるむ。
全部がばらばら。仕事の仕方が違うのです。
この自転車は、ねじ一本まで丁寧に作られています。
悪いけど、この自転車は、メーカー品じゃないでしょ。
当時だって そんなに高い自転車じゃなかったでしょ。
だけど、部品も全部 国産なんです。
組み立ても日本でしている、
職人が仕事をしている自転車なんです。
だから、あなたの目の前にあるその自転車
(某一流メーカーの7万円ほどの自転車でした。)
より、よっぽどしっかりしている。いい自転車です。」
私が今乗っているこの自転車、実は娘が5年生か6年生の時に
かった物。 ですから、もう20年になります。
古い古いおんぼろ自転車です。
物持ちの良い娘が結婚で家を出た時に、流石に置いていって、
捨てようかと思ったけど、
たまに帰ってきたときに一緒に出掛けられるし・・と
思ってそのまま取り置いたもの。
それから半年ほどして、私の自転車が盗まれて
取りあえずと 娘の自転車に乗ってみたら
これが とっても乗り心地がいいのです。
ペダルを踏むたび 自転車が風に乗るように感じられて・・。
おじちゃんの、私の自転車を見る愛おしそうな眼差しと、
説明に、
(そういうことなんですね。
乗り心地がいいと思った感覚は正しかったのですね。)
と 納得。
そして、
( 自転車だけでなく、恐らく、
外のものも、すべて 同じことがいえるのでしょうね。)
と 思いました。
「 これからも、あちこち修理がいると思うけど、
新しい自転車に買い替えたりしないで
最後まで、大事に乗ってくださいね。
直し、直し、いきましょ。」
おじちゃんの最後の言葉にも、おおいに感動した
冬のある日の私でした。