敬愛する
渡邉五郎三郎先生から 贈って頂いた
『人間としての大成
子供には良い躾を 大人には座右の書を』
98歳の渡邊先生の尊い想い 行間からも。
勿体なさ ありがたさに 胸がいっぱい。
今夜のKCC神戸新聞文化センター話し方教室で
皆様にもご紹介させていただいて
今日は、皆で 言志四録味講 を朗誦いたしました。
言志四録味講 (まえがき)
「言志四録」は佐藤一斎の語録である。
「語録」は、いうなれば、
葉末からしたたるしずくである。
しずくは内に満ちみちた樹液が、
おのずからにしてにじみ出たものである。
無理に出したものでもなければ、
人に示すためにつくったものでもない。
内に満つるものが、自然ににじみ出たものである。
そこが「論文」とちがう。
一本の松の木を取扱うのに、
根・幹・枝・葉・花・実と分ち、
そしてそれを切ったり割ったりして、
更にそれを顕微鏡でのぞいて
組織をしらべたり、
樹液を分析して成分をしらべたりする。
それが論文。
語録と論文、この二つはどちらも必要だ。
しかし、
そのものの生きた生命を生きたままでつかむには、
論文よりむしろ語録の方がよいであろう。
なぜならそれは、その人の体験や思想の樹液が、
そのままおのずとにじみ出たものだからである。
しかし、一滴のしずくから、
その草や木のいのちを知るためには、
こちらにその素養がなければならぬ。
渓谷をわたり、深山をたずねて、
巨木芳草の生きた姿にふれぬものには、
その一しずくから、
松籟を聞き、蘭香を喫することは出来ぬ。