昭憲皇后 フランクリン十二徳の御歌 



      節制
花の春もみぢの秋のさかづきも
        ほどほどにこそくままほしけれ

  ( 春の花見や秋の紅葉狩りで飲むお酒も、ほどほどに
     飲むのが良いのであって、何事も節度をわきまえることが
     大切です。                          )


      清潔
しろたへの衣のちりは払へども
        うきは心のくもりなりけり

  ( 着ている服の塵を払って外見をつくろうことはできても
     内側の心のくもりは簡単に拭うことはできません。
     心をこそ、清々しく保っていたいものです。        )



      勤労
みがかずば玉の光はいでざらむ
        人のこころもかくこそあるらし

   ( 宝石は磨かなければ光を放ちません。
      それはまさに人の心も同じで、研鑽を積まなければ
      、優れた徳を持つことが出来ないものなのです。 )



       沈黙
すぎたるは及ばざりけりかりそめの
          言葉もあだにちらさざらなむ

    ( 「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と申します。
        ふと軽い気持ちでもらす言葉が 人を傷付けることも
        あります。 不用意な言葉はむやみに使わないように
        したいものです。                       )


       確志
人ごころかからましかば白玉の
          またまは火にもやかれざりけり

    (  人の心も、こんな風に堅固なものであったら良いのに。
         白い珠玉はたとえ火中に投げ入れられても
         傷ひとつつかないで その信条を貫くのです。    )  
                 

...     誠実
とりどりにつくるかざしの花もあれど
         匂ふこころのうるはしきかな

    (  神事に仕えるとき、神様に喜んでいただくために
         頭に美しい花飾りをつけたりもしますが
         匂い出る心の清らかさこそが何より美しいもので、
         神の心にかなうものです。               )


        温和
みだるべきをりをばおきて花桜
         まづゑむほどをならひてしがな

     (  桜の花の散りぎわよりも、蕾が咲きほころびようと
          するときの、 人の心をほぐすような
          和かなやさしさにこそ、習いたいものです。    )


       謙遜
高山のかげをうつしてゆく水の
         ひききにつくを心ともがな

     (  高い山の姿を映していても、水はおのずから
          低い方へ向かいます。  そのように、  志は
          髙く持っていても、 行いは謙虚でありたいものです。)


..      順序
おくふかき道もきはめむものごとの
         本末をだにたがへざりせば  
.

     (  どんなに奥深く困難な道でも、ものごとの
          本末順序をさえきちんとして誤らなければ
          いつか極めることができるでしょう。         )


        節倹
呉竹のほどよきふしをたがへずば
           末葉の露もみだれざらまし

     (  贅沢をせず、分に応じた生活を心がけていれば、
          子孫も長く繁栄することでしょう。           )
  

         寧静
いかさまに身はくだくともむらぎもの
            心はゆたにあるべかりけり

      (  身を粉にして働いている時も、心は いつも
           ゆったりと、朗らかでありたいものです。     )

...
         公儀
国民をすくはむ道も近きより
            おし及ぼさむ遠きさかひに


     (  国民を救う道も、まずは近いところから始め、

          だんだんとそれを押し広げていって、

          遠い国の境に住む人々にも

                  及ぼしていきたいものです。  )



    

          明治神宮に参拝させて頂き

昭憲皇后の ありがたい御心に

              触れさせて頂きました。