2007年9月播磨人間フォーラムにて
渡邉五郎三郎先生のご講演の司会をさせて頂きました。

渡邉先生は、参議院議員秘書から福島県知事秘書まで
30数年、秘書として常にトップを補佐し、
また  『組織の中の人間学』など多数のご著書でも高名な方でした。...

その日は、 真の武士道を貫いた西郷南洲の生き方
遺訓 を ゆったりと穏やかに そして大変丁寧な言葉使いで
何より  美しく お話くださいました。

本当に 美しかったのです。
演台の後ろ。  講演を聴いていらっしゃる皆様には見えない、
司会をさせて頂いていたからこそ  拝見出来た、
お立ちになっていた先生の横姿。
1時間30分のご講演の間 
始めに すっと背筋を伸ばし 足を揃えてお立ちになったお姿は
一度も、 少しも 乱れなかったのです。

ご講演でお伝えになっている言葉と
先生のお姿が  全く 違わない。  感動でした。

当時 先生、88歳。
会場のホテルに到着されたとき、主催者に伴われ
お部屋にご挨拶と打ち合わせのために伺いますと
ノックで、すぐに さっとドアを開けてくださって
お部屋に招き入れてくださいました。

そして、 わざわざ私どものために
もう一度 ボタンまでかけ上着を着直してくださいました。

お部屋には、テーブルとイスがございましたが
椅子は2客でした。
先生は、ご自分がお立ちになって 私を座らせてくださったのです。
遠慮する私に
「 この部屋では 私が主です。  あなたは  お客様です。
お客様に座っていただくのは  当然ですよ。」
と、やさしくお声をかけてくださって・・。

その後、 致知出版社さまの30周年記念パーティが
東京 ホテルオークラで開催されたときに
再会できました。
記念講演の間の休憩時間。
当日は、定員1000人のところ、申し込みが殺到して、
別会場も用意なさって 総勢13000人の参加者でした。
休憩時間になると、皆 一斉に お手洗いに殺到して
広いホテルのトイレも  長蛇の列。
男女、階を分けてあったので、男性の列の横を通っていて
その中に、 上品な 渡邉五郎三郎先生のお姿を見つけたのです。

思わず 嬉しくて、 並んでいらっしゃる先生に
「渡邉先生。 私、兵庫県姫路市の 山本えりでございます。
 播磨人間フォーラムのとき・・」と、このあたりまで
お声を掛けましたら
先生は、 
「ああ、あの時、司会をしてくださった・・・」
と、言いながら ご自分の 前に30人 後ろに20人ほど並んでいる
その列から、  さっと離れ、 改めて 
姿勢を正し直して
「その節は、大変お世話になりました。ありがとうございました。
 あなたのあたたかな司会のお蔭で、 良い時間を過ごさせて頂きました。・・・」
と、ご挨拶くださったのです。

あの状況で、  私なら  あの列から離れることは
とてもできなかった ・・ と  
恐縮しながらも、  大きな 深い学びを頂戴し

益々、 渡部五郎三郎先生を 尊敬致しました。 

先生から頂いた 素晴らしい 謙虚なお心  尊いお姿は
このエピソード以外にも  多数・・。

その大好きな先生のことを 地元、読売ファミリーニュースの
月1回の心コミュニケーション のエッセイに書かせて頂き
昨年、そのエッセイ集を
宮崎貞行先生に電子書籍にすることをお勧めいただいて、 
写真掲載のお願いのお手紙をださせて頂きましたら
快くご承諾くださって
あたたかなお礼のお手紙とともに
先生のご著書 『言志四録 抄録』を
お贈りくださいました。

本当に、どこまでも謙虚なお姿。
出会わせてくださって  ありがとうございます。  
ご縁を頂けていることに  心から感謝です。