数年前に、播磨人間フォーラムの講師と司会者として
お会いすることができた
渡邉五郎三郎先生から、頂いたもの、
それは、『敬天愛人』 の 生き方 でした。
以前にも、心&心コミュニケーションに書かせて頂きましたが、
書けていなかったエピソードを・・。
講演会の前、ホテルに到着された直後に先生のお部屋を
司会者として伺ったとき、
長旅で、くつろごうとなさった直後であったにも関わらず
さっと上着を着直し、きちんとボタンまでとめて
迎えてくださいました。
先生、88歳の年でした。
お部屋には、椅子がふたつ。
担当者に連れられ ふたりで参りましたので、私が立っていると
丁寧に椅子をすすめてくださって、 遠慮すると、
「 この部屋の主は 今は、私(わたくし)です。
そして、あなたは、お客様です。 その上、あなたは女性です。
あなたを 立たせるわけには参りません。
どうぞ、遠慮をなさらず・・。」
と、 ご自分がお立ちになったのです。
先生は、打ち合わせも簡単に、
「 あなたにお任せします。 あなたが、やりやすいように・・。 」
穏やかに、物静かであたたかな瞳で、そうお伝えくださいました。
講演会でのお姿は、以前 書かせて頂いたので省きますが、
天知る、地知る、 我知る・・。
と、西郷隆盛翁の遺訓 を お伝えになる先生のお姿が
言葉と少しもぶれず、本当に美しく、感動致しました。
そして、懇親会の時、頂いた言葉・・。
実はその頃、焦っていました。
私のまわりの方がたのように、もっと自由に動きたい、
思うような仕事がしたい、 大きな活動したい・・・。
でも、病気を抱えた父がいる。
その前には、祖父母の介護や、病院通いが続き、母が死に、
子供たちにも まだ、心も手も 必要。
いろいろな環境も、自由に動くことを許さない・・。
どちらも、大切、でも・・・。 と。
そんな想いを渡邉先生に 打ち明けました。
「・・みなさまの様に、一隅を照らせる私になりたいのに
大きなことは 何もできていないのです・・。」
その言葉を、じっと見守るようなまなざしでお聴きくださったあと、
「大きな活動をすることだけが、立派なのではありません。
母親であるあなたが、子どもを愛し、大切に育てる・・
それだけでも、立派に 一隅を照らすことなのですよ。
社会の役に立ち、日本や世界の未来に役立つ、
大切なことなのですよ。 自信を お持ちなさい。 」
と、しずかに、やさしく お伝えくださいました。
その言葉をうかがい、 胸がすーっと静まり、
今は、目の前にある、やるべきことを、出来ることを 大切にしよう
そう 想うことが できました。
自由に動けるようになった今、
その時、目の前のことを大切にできたことに、 感謝しています。