『言葉ひとつで楽しく気持ちよく』
「10月になったのに、まだまだ暑いねェ。
今年は秋がくるのが遅いね 」 (私)
「うん。 でもね、今日学校から帰りよったらね、
秋風さんが
『 こんにちは 』って、ぼくの頭の上を通っていったよ」
(息子7歳の時)
子どもの心は、なんて純真で、豊かな感性を持っているのでしょう。
子どもの言葉に (はっ)と気付かされ、
教えられる事って多いですね。
その中から、我が娘ながらなんて素敵!
と思った言葉のエピソードをご紹介します。
娘が10歳、息子が7歳のある日、
3人でお風呂に入っていた時の話です。
髪を洗っていた娘が、湯船の中にいる弟に洗面器を渡しながら、
「 お湯くんでちょうだい 」 と、頼みました。
その時 少し不機嫌だった息子は、黙って受け取ると、
すごい勢いでお湯の中に洗面器を入れて、ザバッとくみ、
そのままの勢いで乱暴に、お姉ちゃんに渡しました。
その様子を見て、
「もっと丁寧に渡さないとダメよ 」 と、
注意をしようと私は思いました。
ところが、私の言葉より先に、
娘はイヤな顔ひとつしないで、こう言ったのです。
「あー、今のは、チーターさんモードやね。
今度は、亀さんモードでお願いします」
すると息子は、いたずらを見つかった子どものように
「 エヘッ 」 と 照れ笑いをしてから、
「 うん、わかった 」 と、素直に返事をし、
そして今度は、おもしろがって、
ノロノロと 超スローモードでお湯をくみ、姉に渡しました。
娘は、それを愉快そうに受け取ってから、
「 じゃあ、今度は― 」 と、少し考えて、
「 犬さんモードでお願いします 」 と、言ったのです。
息子は、理解したとばかりに、
にこにこしながら普通の速さで丁寧に、娘にお湯を渡しました。
この時、もし、
私の注意の言葉が先に出ていたらどうだったでしょうか。
こんな楽しく気持ちの良い時間にはならなかったでしょう。
本当に言葉ひとつなんですよね。