『心と言葉と行動が一致する姿に感動 』


 9月に、あるホテルを会場に催された講演会の司会をさせて頂きました。


講師は、参議院議員秘書から福島県知事政務秘書まで30数年、

秘書として常にトップを補佐し、

『組織の中の人間学 』等のご著書でも有名な

渡邊五郎三郎先生(当時88歳)でした。


先生は、ゆったりと穏やかに、そして大変丁寧な言葉遣いで、

真の武士道を貫いた『西郷南州(隆盛)』の

品性ある人と成り、 生き方を通して、

人に驕らず人を妬まず謙虚であること、


どんな時にも どんな場所でも 

人が見ていても 見ていなくても

天地に恥じない 正しい生き方をすること、


人を咎めず 自分の未熟さを知り

常に前進する努力をすること、


いささかも私を挟まず 融和と皆の幸せを大切にすること、


一隅を照らす生き方をすること等をお伝え下さいました。


先生のお話に感銘し 

心清められたのは言うまでもありませんが、


私がその講演会で最も感動したのは先生ご自身のお姿でした。


会の前に、ご挨拶と打ち合わせの為、主催者に連れられ

先生のお部屋をお訪ねしました際、


先生はわざわざ入口まで足を運んで私共をお迎え下さいました。


しかも、さっと上着を着て ボタンもきちんと留め

身だしなみを整え直して、です。


1時間30分のご講演の間、

先生の姿勢は少しも乱れませんでした。


客席から見えない演台の下の足も 

はじめに きちんと揃えて背筋まっすぐ美しくお立ちになったまま

一度もくずれなかったのです。

その横姿は、司会者席にいたからこそ拝見できた御姿でした。


司会で少し失礼なことをしてしまって後からお詫びに伺った時も、

謙虚なまなざしで、


「こちらこそご迷惑をおかけしました。ありがとうございます」


と言って下さり、

先生のお心と お言葉と 行動が一致する

そのお姿に頭が下がりました。


翌日、拙い司会のお詫びも込めて

お礼状を差し上げましたところ、

数日後、先生から直筆の返信を頂きました。


その中には、こちらこそというお礼の言葉と共に


 『私もご縁を頂きましたことを心に刻んで

       一層精進いたす覚悟でおります』


 『「縁尋機妙」』

   (良い縁が良い縁を結んでゆく姿は実に機妙である)


と、書かれてありました。

 お会いできた幸せを、有難く、心から感謝いたしました。