『改まった日に、普段口にできない思いを伝える。』


 3月、息子が高校を卒業しました。

 卒業式は、開式迄の時間、

学園オーケストラによって

モーツァルトやヴィヴァルディが静かに演奏され、

厳粛な中にも

春の光の様に穏やかであたたかな空気に満ち溢れていました。


 先生方全員で、コブクロの『YELL~エール』を熱唱して

文字通りエールを送って下さったりと、

今思い出しても胸が熱くなる素晴らしい時間を沢山頂戴致しましたが、

中でも感動したのは理事長のお言葉でした。


「これからの人生、

思う様にならないこと、 どうして私だけがと思う程悲しい事、

苦しい事、 つらい事もあるでしょう。


…でもどんな事が起こったとしても、

命より大切なものはないのです。


…掛け替えのない命を大切にして下さい。

…自分を大切にして下さい。


…皆さんの人生は皆さんのものです。


…そしてもし、それでもどうしてもつらくなった時は、

いつでも帰ってきて下さい。


…私達はいつでも待っています。…」


 と、ひと言ひと言噛み締める様に、

訥々と子ども達に語りかけて下さったお言葉は、

静かに会場に響き、心の奥深く迄染み入りました。


 そして卒業式の後、

子ども達と一緒に教室に入った私共を待っていたのは、

子ども達からのバラの花のプレゼントでした。


 手渡された11本のバラには、

それぞれ子ども達から保護者への感謝の言葉が付けられており、

私は、息子からの

(生まれてから今日まで本当にありがとうございました…)

のメッセージを読んだ瞬間、涙で目が見えなくなりました。

 

 この日息子は、学校から卒業証書と一緒に、

荀子の巻第一・歡学篇第一を頂きました。

息子にはまだ難しいかもしれませんが、きっと近い日、

どの様な思いを込めてこの荀子の言葉を贈って下さったのかを理解し、

感謝する日が来ると思います。


本当に沢山の心を頂戴した有り難い一日でした。

普段はなかなか口に出すことは出来なくても、こういう改まった日に、

改めて思いをきちんと伝えるというのは、

本当に大切なことだと思いました。


この日頼もしく成長した息子に私も感謝の手紙を書きました