認められると心が動く
「また僕の話?」と、息子に苦笑されそうですが…。
息子は、子どもの頃 大変マイペース(今でもです・・苦笑)。
好きな事は熱中してするが、興味・関心の持てない事には、
見事な程 動かない子で、悩まされたものです。
小学5年生の参観日も、そんな時でした。
授業は国語。
『大陸は動く』という作品でしたが、内容は、
実は生命の歴史が大好きな息子のもうすでに知っていることでした。
教室に入ると、後ろにいるお母さん達を意識して、
いつもより少し緊張して お行儀よく座っている子ども達の背中の中に、息子の背中がありました。
ぽーっとよそ見をしていて、一目見ただけで、息子の心がそこにないことが分かりました。
(参観日の日位、ちゃんとしていてくれたらいいのに…)
との私の思いもなんのその。
先生が、教科書の何ページを開いて下さいと仰っても、
プリントの大陸の地図を鋏で切り繋ぎ合わせる作業を指示されても、
全く反応せず、自分の世界に入ったまま。
私は、できる事なら机の横に行き
「ちゃんと前を見て聞きなさい」 と注意をしたい…と、
恥ずかしさに小さくなりながらその背中を見続けていました。
そんな息子の様子を、チラッ、チラッ、とご覧になっていたS先生。
黒板に張った地図の アフリカ大陸の東にある島を指して、
「誰か、この島の名前を知っていますか?」
と、質問なさいました。
誰も手を挙げませんでした。
S先生、 「誰も知りませんか―」 と仰ると、
よし! という感じでにっこりなさってから、
声を大きくして、
「こんな時には ○○君 (息子の名前です)やねぇ 。
(・・・ と、皆に同意を求めてから )
○○君、この島の名前、知っていますか?」
名前を呼ばれた息子は、
慌てて自分の世界から教室へ帰ってきました。
そして、即、「マダガスカル島」 と答えました。
その答えに、S先生、満足気に笑いながら更に声を大きくして、
「こういうことは、やっぱり○○君やねぇ。 さすがやねぇ」
少し誇らし気な顔になった息子が、その後授業に参加したのは、言わずもがな、です。
私は心の中で、S先生に 深く頭を下げました。