先月、毎月1回の姫路北病院様の接遇マナー研修に
お伺いした時の事。
少し早く着いたので、ロビー待合の椅子に座り、
担当の方をお待ちしていますと、
小さくとても澄んだ優しい歌声が聞こえてきました。
見ますと、3メートルほど向こうに
30代位の男性と50代位の女性が、二人がけのテーブルに
向かい合って座り、仲良く歌っていらっしゃいました。
女性は男性を慈しむような眼差しで、男性は幼子のような素直な眼差しで
微笑み合いながら歌っていらっしゃいます。
( 優しそうなお母様。 あたたかな親子ね~)と、そっと拝見しておりますと、
唱歌など何曲かを、楽しそうに歌われ、
『夏の思い出』が 終わった後、 男性が、女性に、こう仰いました。
「・・・僕、 歌が大好きなんです。
歌っていると、辛い事も忘れられて楽しくなるんです」 と。
その言葉に、女性もにっこりと微笑まれ、
「本当に歌はいいですね。 元気が出ますね。 私も歌が大好きです。」
「僕、この歌も好きです。
♪~守ってあげたい~あなたを 苦しめる 全てのものから~♪。」
彼女もこの歌をよくご存知で、
その前後の歌詞も入れて少し歌ってから
「 私も好きですよ。 ユーミンの歌は声にも癒されますね。
・・・私ね、
人は、 ひとりで生きていると、ずっとそう思ってきたんです・・・。
でも、そうじゃないの。
多くの人に支えられて、助けてもらって生きているのよね・・・。
ここにくる前にも他の病院に通っていたの。
でも、治らなくて・・・。 痛くて、 痛くて、 眠れなくて・・。
本当に苦しかったわ・・・。 辛かったわ・・・。
だから、 あなたの苦しみ、 わかるのよ・・。
・・・ここに通って、
皆さんに本当に良くしてもらって、 助けてもらって・・・、
私、 治ったの!。」
「治ったの?」
「そう、治ったのよ!。」
その瞬間、二人は、本当に嬉しそうに微笑み合い、
一緒に 小さく万歳をなさいました。
そして、その後、彼女が続けて・・・。
「この病気になったお蔭で、
私、ひとりで生きているのじゃないとわかったの。
今、 毎日、 感謝しながら、 生きているのよ・・。」
このあたたかな優しい空間に、一緒に身を置けたことを
心から感謝しました。