日本の選挙で「不正」は本当に可能なのか?鉄壁のルールを徹底解説!

 

2025年7月20日

選挙のたびに、SNSなどで囁かれる「不正選挙」の噂。「知らないうちの票が操作されているのでは?」「開票作業は本当に正しいのか?」といった声を目にしたことがある人もいるかもしれません。しかし、結論から言えば、日本の選挙制度において、組織的な大規模不正は極めて困難です。

なぜなら、日本の選挙は世界的に見ても非常に厳格な「公職選挙法」に基づいており、投票から開票に至るまで、不正を防ぐための「鉄壁のルール」が幾重にも張り巡らされているからです。

今回は、その具体的な仕組みを紐解き、なぜ日本の選挙で不正ができないのかを徹底解説します。

 

【鉄壁ルール その1】投票:1票の秘密と物理的な不正防止策

 

選挙の公正さを守る第一歩は、投票所にあります。そこでは、私たちが投じる一票の秘密と価値を守るため、徹底した管理が行われています。

  • 誰が誰に書いたか分からない「秘密投票」 憲法で保障されている「秘密投票」の原則に基づき、投票用紙に氏名などを書く必要はありません。誰がどの候補者・政党に投票したかは、誰にも知られることはありません。

  • 偽造は不可能!特殊な投票用紙 投票用紙は、簡単には破れにくく、折りたたんでも元に戻りやすい特殊な紙(ユポ紙など)で作られています。これにより、投票箱の中で票がくっついたり、意図的に破損させられたりすることを防ぎます。

  • 「中の人が不正」はできない監視体制 投票所には、選挙管理委員会から任命された投票管理者(責任者)のほかに、各候補者や政党が推薦した投票立会人が常に目を光らせています。投票箱は、投票開始前に空であることを複数の立会人の前で確認し、施錠されます。この鍵は投票管理者と立会人が別々に保管するため、一方が単独で箱を開けることはできません。投票終了後、投票箱は厳重に封印され、開票所へと運ばれます。

 

【鉄壁ルール その2】選挙運動:世界一厳しい?公平性を保つための規制

 

日本の選挙が公正と言われる大きな理由の一つに、非常に厳しい選挙運動のルールがあります。これは、お金や権力によって票が買われることを防ぎ、候補者が政策で正々堂々と競い合うことを目的としています。

  • 買収・供応は重大犯罪 有権者に対して金銭や物品を渡したり、飲食を提供したりする「買収」や「供応」は、極めて重い罪とされています。候補者本人だけでなく、その家族や秘書、運動員が違反した場合でも、「連座制」によって当選が無効になるなど、厳しい罰則が科せられます。

  • 戸別訪問の原則禁止 候補者や運動員が、有権者の自宅などを一軒一軒訪ねて投票を依頼する「戸別訪問」は、法律で禁止されています。これは、有権者が直接的なプレッシャーを感じることなく、自由な意思で投票できるようにするためです。

  • 文書やポスターにも厳しい制限 選挙運動で配布できるビラの枚数や、掲示できるポスターのサイズ・枚数・場所は厳しく定められています。街の至る所に同じポスターが貼られているのは、決められた公営掲示板にしか貼ることが許されていないためです。

 

【鉄壁ルール その3】開票:人の目による「二重三重のチェック」

 

選挙のクライマックスである開票作業。ここでも、1票たりともないがしろにしないための、透明性の高い仕組みが徹底されています。

  • 全ての票を混ぜてからスタート 開票所に運び込まれた全ての投票箱は、一度すべて中身を空けられ、大きなテーブルの上で混ぜ合わされます。これにより、どの投票所の票なのか分からなくなり、「特定の地域で不正操作をする」といったことができなくなります。

  • 機械と人の目によるダブルチェック 投票用紙の分類には、効率化のために「自動読取分類機」が使われることがありますが、これはあくまで補助的な役割です。分類された票は、必ず複数の開票事務従事者(市区町村の職員など)がペアになって、手作業で何度も確認します。

  • 「開票立会人」による厳しい監視 投票所と同様に、開票所にも各候補者・政党から選ばれた開票立会人が配置されています。彼らは、開票作業の全てを間近で監視し、疑問があれば意見を述べることができます。誰に投じられたか判別しにくい「疑問票」の判断も、この立会人の意見を聞きながら、開票管理者が最終的に決定します。このプロセスは公開されており、一般の市民も参観することが可能です。

 

まとめ:安心して、その一票を投じよう

 

このように、日本の選挙制度は、投票、選挙運動、開票という各段階で、人の目と厳格なルールによる多重のチェック機能を備えています。特定の個人や組織が、選挙結果を覆すような不正を働くことは、制度上、限りなく不可能に近いのです。

SNSなどで見られる「不正選挙」の噂は、こうした複雑で厳格な仕組みへの理解不足からくるものが少なくありません。もちろん、制度に100%の完璧はありませんが、日本の選挙が世界最高レベルの公正性をもって運営されていることは事実です。

私たちの未来を決める、大切で重い一票。その価値は、こうした鉄壁のルールによって守られています。制度を正しく理解し、安心して投票所に足を運び、あなたの意思を社会に示しましょう。