農業を始めるなら、まず何を作る?失敗しにくい&稼げるおすすめ作物10選
「自然の中で働きたい」「自分で作った安全な野菜を食べたい」 そんな思いから、農業に興味を持つ方が増えています。しかし、いざ始めようと思っても、最初の大きな壁が**「いったい何から作ればいいんだろう?」**という疑問ではないでしょうか。
作物の選択は、農業経営の成功を左右する非常に重要な第一歩です。
そこでこの記事では、農業初心者の方が作物を選ぶためのポイントと、目的別のおすすめ作物を具体的にご紹介します。
作物選びで失敗しないための「3つの視点」
やみくもに「儲かりそうだから」という理由だけで作物を選ぶのは危険です。まずは、自分に合った作物を見つけるために、以下の3つの視点から考えてみましょう。
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栽培のしやすさ(作りやすいか?) 病気や害虫に強く、栽培に特殊な技術や高価な設備をあまり必要としない作物は、初心者にとって心強い味方です。まずは農業に慣れるためにも、「作りやすさ」は重要な基準です。
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収益性(稼げるか?) 農業を仕事にする以上、収益は欠かせません。作物の単価だけでなく、1年に何回収穫できるか(回転率)、初期投資がどれくらいかかるか、などを総合的に考える必要があります。
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自分のスタイルとの相性(続けられるか?) 軽作業で済むものから、体力的にハードなものまで、作物によって作業内容は様々です。また、「作ったものをどこで売るか(販路)」も最初に考えておくべき大切なポイントです。
これらの視点を踏まえて、具体的なおすすめ作物を見ていきましょう。
【目的別】さあ、何を作る?おすすめ作物リスト
まずはコレから!栽培しやすく初心者向けの野菜
農業の基本を学びながら、収穫の喜びを実感しやすい作物です。家庭菜園の延長としても始めやすく、直売所などでも人気の定番野菜です。
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ほうれん草・小松菜などの葉物野菜
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魅力: 種をまいてから収穫までの期間が1〜2ヶ月と非常に短いのが特徴。年に何回も栽培でき、資金の回収が早い(高回転)。
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ポイント: 初期投資が少なく、省スペースでも始められます。農業のサイクルを学ぶのに最適です。
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じゃがいも
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魅力: 植え付け後の管理が比較的楽で、病気にも強いです。ある程度まとまった量を収穫でき、保存がきくのも嬉しい点。
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ポイント: 春と秋に栽培できる地域が多く、作業が集中する期間も短めです。
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ナス・ピーマン・きゅうり
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魅力: いずれも夏野菜の定番。一度植えれば、夏から秋にかけて長期間収穫し続けることができます。
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ポイント: 日々の成長が分かりやすく、収穫量も多いので、農業のやりがいを感じやすい作物です。
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ミニトマト
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魅力: 普通のトマトより病気に強く、栽培しやすい品種が多いです。収穫期間が長く、カラフルな品種を選べば直売所でも目を引きます。
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ポイント: 収穫・パック詰めなど作業は細かいですが、単価は比較的高めです。
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収益性を重視!「稼ぐ」を目指すための作物
初期投資や少し高度な技術が必要になる場合もありますが、軌道に乗れば安定した収益が期待できる作物です。
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いちご
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魅力: 野菜・果物の中でもトップクラスの単価を誇ります。ケーキ屋などの業務用需要や、観光農園としての道も開けます。
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ポイント: ビニールハウスなどの施設投資が必要です。また、品質管理に繊細な技術が求められます。
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アスパラガス
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魅力: 一度株を植え付ければ、10年近く収穫を続けられる「宿根性」の作物です。春先の需要期には高値で取引されます。
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ポイント: 収穫が始まるまでに2〜3年かかりますが、その後の労力は比較的少なく、安定経営につながりやすいです。
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ニラ
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魅力: 年に3〜5回刈り取ることができ、非常に回転率が高いです。病害虫にも強く、栽培の手間が少ないのが特徴です。
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ポイント: 一年中安定した需要があり、収益の見通しが立てやすい作物です。
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個性を武器に!差別化できるニッチな作物
他の農家と違うものを作ることで、価格競争を避け、独自のファンを獲得できる可能性があります。
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ハーブ類(バジル、ローズマリーなど)
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魅力: 省スペースで栽培でき、レストランやカフェなどと契約できれば安定した販路を確保できます。乾燥させて加工品にする道も。
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ポイント: 少量多品目で栽培し、セット販売などで付加価値を高める戦略が有効です。
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カラフル野菜(カラーピーマン、ビーツ、ラディッシュなど)
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魅力: 見た目の華やかさで、直売所やマルシェで消費者の目を引きます。レストランからの需要も高いです。
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ポイント: 栽培方法は一般的な野菜と大きく変わらないものが多く、手軽に差別化を図れます。
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にんにく
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魅力: 保存がきき、黒にんにくなどの加工品にも展開しやすいです。輸入物との価格差をつけやすく、国産ブランドは高値で取引されます。
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ポイント: 植え付けから収穫まで約8ヶ月と長期間ですが、手間はそれほどかかりません。
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成功への一番の近道は「地域に学ぶ」こと
最後に、最も重要なことをお伝えします。それは**「その土地に合った作物を作ること(適地適作)」**です。
この記事で紹介した作物が、あなたの始めたい地域に合っているとは限りません。まずは地域のJA(農協)や、役場の農政課、そして近所の先輩農家さんに話を聞き、「このあたりでは何が栽培されているか」「何が成功しているか」という情報を集めることが、失敗しないための何よりの近道です。
いきなり大規模に始めるのではなく、まずは小さな畑でいくつかの品目を試しに作ってみるのも良いでしょう。土に触れ、作物の成長を肌で感じる中で、きっとあなたにピッタリの作物が見つかるはずです。