南海トラフ地震、次に来るのはいつ?最新の発生確率と私たちが知るべきこと
「南海トラフ地震って、結局いつ来るの?」
日本に住んでいると、誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。メディアでは「高い確率で発生する」と言われ続けていますが、具体的な「年」や「月」まではなかなか分かりません。
この記事では、最新の科学的データに基づき、南海トラフ地震がいつ頃起こる可能性があるのか、そしてなぜ正確な時期の予測が難しいのかを、分かりやすく解説します。
最新の発生確率:驚くほど高い「80%」
まず、最も信頼できる情報源である政府の地震調査研究推進本部が発表している確率を見てみましょう。
2025年1月時点の評価では、南海トラフでマグニチュード8〜9クラスの巨大地震が**今後30年以内に発生する確率は「80%程度」**とされています。
これは、30年後に80%の確率で起きるという意味ではありません。「いつ起きてもおかしくない状況」がすでに始まっており、その状態が今後30年続く中で発生する確率が非常に高い、と理解するのが適切です。ちなみに、40年以内の発生確率は90%以上ともいわれています。
過去の南海トラフ地震は、およそ100年から150年の周期で発生してきました。直近の大きな地震は1944年の「昭和東南海地震」と1946年の「昭和南海地震」です。そこからすでに約80年が経過しているため、次の活動期が迫っていると考えられているのです。
「何年何月」の予測はできるのか?
では、本題の「何年何月に起きるか」という予測は可能なのでしょうか。
結論から言うと、現在の科学技術では、具体的な年や月を特定して予測することは不可能です。
巷では「203X年に危ない」といった説を見かけることがあるかもしれません。しかし、これらは過去の発生周期から単純に計算した予測に過ぎず、科学的に確立されたものではありません。
地震の発生は、地下のプレートがどのように動き、どこにどれだけのひずみが溜まり、いつ限界に達して破壊されるか、という非常に複雑なプロセスに基づいています。このプロセスは毎回同じではなく、「半割れ」といって、震源域の半分だけが先にずれて地震を起こし、後から残りの半分が動くといった多様なパターンがあります。
こうした不確実性のため、「来年の夏に起こる」といったピンポイントの予知は、現時点では誰にもできないのです。
予測できないからこそ「備え」が重要
「いつ来るか分からないなら、考えないようにしよう」と思ってしまうかもしれません。しかし、予測ができないからこそ、私たちは「いつでも起こりうる」という前提で行動する必要があります。
発生確率80%という数字は、脅しではありません。冷静にリスクを受け止め、具体的な備えを進めるための重要な指標です。
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家具の固定: 地震による死傷の原因の多くは、家具の転倒や落下です。命を守るための最も基本的な対策です。
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食料と水の備蓄: 最低でも3日分、推奨は1週間分を準備しておきましょう。
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避難場所と経路の確認: 自治体が発行しているハザードマップを見て、自宅や職場、学校周辺の危険箇所や、安全な避難場所を家族全員で確認しておきましょう。
まとめ
南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は80%と非常に高く、切迫した状況です。しかし、現代の科学でも具体的な発生年や月を言い当てることはできません。
だからこそ、「いつか」ではなく「いつでも」起こりうる災害として捉え、日頃から着実に備えを進めることが、あなたとあなたの大切な人の命を守ることに直結します。この機会に、ぜひ身の回りの防災対策を見直してみてください。