🔮《星降る夜の魔法》✨

夜の帳が降りるころ、リリアは静かに森の奥へと足を踏み入れた。
今日は年に一度、星の魔法が使える特別な夜。

「本当に願いが叶うのかな……?」

彼女の手には、一枚の小さな紙切れ。
そこには震える字で、「もう一度、大切な人に会いたい」と書かれていた。

リリアの心は痛んだ。
幼いころ、いつも一緒にいた兄は、病で命を落としてしまった。
その日から、彼の笑顔は思い出の中にしか存在しない。

「もし、魔法が本当にあるのなら……」

リリアは静かに願いを唱えた。

すると、空からふわりと一筋の光が降りてきた。
やわらかな星の輝きの中、少年の姿が浮かび上がる。

「リリア?」

その声は間違いなく、兄のものだった。

「お兄ちゃん……!」

涙があふれそうになるのをこらえ、リリアは一歩前に進む。
だけど、彼に触れることはできなかった。

「リリア、僕はもうこの世にはいない。でも、君が願ってくれたおかげで、少しの間だけ戻ってこられたんだ」

兄は優しく微笑んだ。

「ずっと見守っているよ。だから、前を向いて生きてほしい」

リリアは震える手で、ぎゅっと紙切れを握りしめた。

「うん……ありがとう」

すると、兄の姿は再び星の光に溶け、夜空へと消えていった。

リリアは涙をぬぐい、夜空を見上げる。
そこには、変わらず輝く星々があった。

「魔法は……本当にあったんだね」

そう呟くと、リリアはそっと微笑んだ。
彼女の胸の奥で、小さな奇跡がそっと光っていた。

—おわり— 🌠