PFASとは?有害性と健康・環境への影響を解説
近年、環境問題や健康リスクの観点から注目されている「PFAS(ピーファス)」という化学物質をご存じですか?
PFASは私たちの身の回りの多くの製品に含まれている一方で、健康や環境に深刻な影響を及ぼす可能性が指摘されています。
本記事では、PFASとは何か、その有害性、規制の動き、そして私たちができる対策について詳しく解説します。
1. PFASとは?
1.1. PFASの定義
PFAS(Per- and Polyfluoroalkyl Substances:パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)は、水や油をはじく性質 を持つ人工の化学物質の総称です。
代表的なものに PFOA(ペルフルオロオクタン酸) や PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸) があります。
1.2. PFASの特徴
- 耐熱性・耐薬品性:高温や化学物質に強く、分解されにくい。
- 撥水・撥油性:水や油を弾く性質を持つ。
- 環境中に蓄積:自然界で分解されにくく、「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」 とも呼ばれる。
2. PFASが使用される製品
PFASは、その優れた特性から 日常生活のさまざまな製品 に使用されています。
2.1. 家庭用品
- フライパンのコーティング(テフロン加工)
- 防水・撥水加工の衣類や靴
- 食品包装(ピザの箱、ポップコーン袋)
- 耐油性の紙容器(ファストフードの包装)
- 防水スプレーやワックス
2.2. 工業用途
- 消火剤(泡消火剤)
- 半導体・電子機器の製造
- 医療機器の表面コーティング
- 航空宇宙・軍事用途(耐熱性が求められる部品)
こうした用途から、PFASは広範囲にわたって環境中に拡散している のが現状です。
3. PFASの健康への影響
3.1. 体内に蓄積する
PFASは体内で分解・排出されにくく、長期間にわたって蓄積 します。そのため、慢性的な健康リスクが懸念されています。
3.2. 健康リスク
多くの研究で、PFASが 発がん性 や ホルモンバランスの乱れ に関連する可能性が示唆されています。
主な健康影響
- がん(腎臓がん、精巣がんのリスク増加)
- 肝機能障害
- 免疫機能の低下(ワクチンの効果減少)
- ホルモンバランスの乱れ
- 妊娠・出生リスク(低出生体重、早産のリスク増加)
特に、妊婦や子どもへの影響が懸念されており、国際的な規制が進められています。
4. PFASの環境への影響
PFASは 一度環境中に放出されると長期間残留 し、深刻な環境問題を引き起こします。
4.1. 水質汚染
- 地下水・河川の汚染:消火剤や工場排水からPFASが流出し、飲料水の汚染につながる。
- 海洋生物への影響:魚や貝類に蓄積し、食物連鎖を通じて人間にも影響を与える。
4.2. 土壌汚染
- 工場や軍事基地周辺の土壌に蓄積 し、農作物に吸収される可能性がある。
5. 各国の規制と対応
5.1. 欧米の規制
- アメリカ
- 2023年、EPA(環境保護庁) が飲料水中のPFAS規制値を大幅に厳格化。
- 主要企業に対し、PFASの排出削減を求める措置を実施。
- EU
- 2022年、PFASの大幅な使用禁止を提案。
- 食品包装や防水加工製品の規制が強化。
5.2. 日本の対応
- 2020年、環境省が全国の地下水・河川のPFAS濃度を調査。
- 一部の地域で水道水からPFASが検出 され問題に。
- しかし、アメリカやEUと比べて規制が緩く、対応が遅れている のが現状。
6. 私たちができる対策
PFASは日常生活に広く使われているため、完全に避けるのは難しいですが、以下の方法でできるだけリスクを減らすことが可能 です。
6.1. PFASを含む製品を避ける
- フッ素加工のフライパン(テフロン)を使わない → セラミック製や鉄製のフライパンを選ぶ。
- 防水スプレーの成分を確認 → PFASフリーの製品を選ぶ。
- ファストフードの包装紙 に注意 → 自炊や環境に優しい包装の店を利用。
6.2. 水の安全を確保
- 浄水器を使用する → PFASを除去できるフィルターを選ぶ。
- ペットボトル水の成分をチェック → 可能であればPFASが検出されていない水を選ぶ。
6.3. 規制強化を求める
- 政府や企業の対応をチェックし、規制強化を求める声をあげる ことも重要。
7. まとめ
PFASは、その便利な性質ゆえに私たちの生活のあらゆる場面で使われてきましたが、健康や環境に深刻な影響を及ぼす可能性がある ことが明らかになってきました。
欧米では規制が強化されつつある一方、日本ではまだ対策が十分ではありません。
私たち一人ひとりが PFASを避ける選択をすることで、健康や環境を守る ことができます。
まずは 身近な製品を見直し、できる範囲でPFASフリーの選択をすること から始めてみましょう!