先日読んだ本からの想いを、つづってみる。
といっても書評というわけではない。
先日読んだ本のなかに、ある説話が挿入されていた。
それは、「月のうさぎ」。
行きずりの老人に動物たちがそれぞれの能力で食べ物を差し出すなか、
何も出来ずにいたうさぎは火に飛び込んで自分を差し出す、というあの説話。
有名な話だし、何かで実際に読んだこともある話だったのだけれど、
なぜか、その本のそのタイミングで現れたこの話に、
うろたえた。
あの説話は、自己犠牲の意味みたいなものを説くわけで、
うさぎの自己犠牲の勇気ややさしさを考えるところなのだろうけれど、
そのときは、火に飛び込む一歩手前のうさぎの感情を思い、
苦しくなった。
火に飛び込む一歩手前にあったかもしれないくやしさ、ふがいなさ、なさけなさ。
そんな感情がそのときとつぜんふっと涌いてきた。
そんな感情が話の筋から読み取れるのかどうかわからない。
でも、涌いてきた。
電車の中で読んでいたけれど、
もし部屋で読んでいたら、
苦しさに耐えられなかったかもしれない。
しばらくなんだか落ち着かなかった。