その人の人生は畢竟その人にしかわからないのだ、
ということを実感することが、最近特に多い。
どんなにその人を知る人が集まったって、
その人のことを完全に再構成することはできない。
ある人には、家族としてのその人がいて、
またある人には、友人としてのその人がいて、
或いは、仕事の付き合いとしてのその人がいて。
家族にしたって、親であり、兄弟であり、親戚であり、
それぞれで見せている顔が違うもの。
言ってみれば、周りの人はその人の紐の結び目だけを知っているわけで、
長い紐を辿れるのはその人一人しかいないのだ。
それにふと気付くと、とても、かなしい。
でも、紐の結び目をかたくほどけないようにして、その人のことを覚えておきたい。
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