6日は埼玉に用事があって、

日の出前の早朝から出掛けた。


俊は「時間があったら少しでも会えないかな」

って言ってたけど、

なんかちょっとムカッときて

「中抜けは出来ないし、無理そう。」

って、少し冷たく返信しておいた。

行き先も詳しくはおしえなかった。


このところまた私の気持ちの中で、

不倫という関係に

不安とか不満とか出てきてて

俊からの電話も時間帯はまばらだし

「他にもまた女作ってるんじゃないの?」

とか猜疑心が芽生えてきたり、

かといって

俊からマメに電話をもらって

長電話するのも億劫だし苦痛だしで、

モヤモヤ、ムシャクシャしてた。


用事っていうのは

経営してるスナックとは別に、

半年前から始めた副業なんだけど。

ちょっと説明の難しい仕事。

まぁ、イベント関係の仕事ね。


その仕事案件が貰えるかも知れないというので、

直接案件発行してる会社へ

行かなければならなくて。


行ったところで、

人気案件だと応募者殺到で、

予約無しではエントリー出来ない。


応募者多数で予約が出来なかったから、

当日予約のキャンセル待ち。


朝9時から、18時まで

ひたすらキャンセル待ちした。


こういう時に限って出ないよ。

キャンセル。


6時間待った時点で、

会場のスタッフから、


「待っててもらっても、おそらくもうキャンセル出ないと思いますので。。」


と言われたけれど、

「遠方から来たので、せっかくだから。。

あと少し待ってみます。」



ずっと近くのTULLY'S COFFEEで

一人、ただひたすらキャンセルが出るのを待って

時間が過ぎていくのを感じながら、

コーヒーを飲みながら過ごしていた。


「なんか、今日ダメっぽいかも。」

って俊にLINEして、

「でも18時まで待ってみる」

って送った。


その間、俊とまた長電話が始まって、

俊は事務所で書類整理しながら、

だらだら無言になりつつ。。


18時ちょうどになって、

(あぁ、ダメだった。8時間も待ったのに。。)

うなだれて帰り支度を始めた時、

隣に男の人が座ってきた。


(こんなに空いてるのに、何で隣?)

と思ったけど、

スマホから目を離さずにいたら、

私のバッグを触るので

「何だろう?」

って顔を見たら、


俊だった!


「えっ!?何で俊!?」


「えっ!?」


俊はニコニコして、


「雪子、心細くなってるんじゃないかと思ってさ。」


「同じのでいい?」


って空になった私のグラスを持って

カウンターに行った。


またしてもヒーロー登場!

やられたっ。

行き先おしえて無かったのに!?


またグワーっと心を掴まれてしまった。