EDF5が少し遅れているので、少しだけ。ラチェット&クランクの流れを少し感じるので、とりあえずレビューしてみることとなった。

 

 

全体的にみると、よくできた映画といえる。言い換えれば、よくできたゲームではない。細かい部分は良くできていると思う部分もあるが、それが面白いゲームへなっているかというと別の話である。狙った層はライト層らしいが、ゲーム性がどう見てもライト層向けに作られていない。正直狙った層にヒットしたかというと・・・。

 

また、このゲームが日本が開発したというのも少々信じがたい。ノリはどう見ても洋ゲーのノリ。正直なところ、ラチェット&クランクやクラッシュバンディクーの出来損ないのようなゲーム。仕様が不親切のためゲーム的にダレやすいのは痛い。

 

 

・シンプルな操作性

 

操作性自体は結構いいと思っている。動かした通りに動作するのは問題ないと思う。

なのだが、シンプルな操作性ということは、できることが非常に少ないということでもある。移動と緊急回避とジャンプ、後は通常攻撃と必殺技くらい。

 

主人公ナックは攻撃パターンが少なく、基本的には□で3回連続まで攻撃できるものふっはっくらえと、ジャンプ中□で地上の敵を攻撃できるものの2つしかない。

一応他の技もあるが、アイテムを取得しないと使えず、乱発はできない。その分性能は高いので、難所を見極めて使うことになる。

 

操作性自体はいいのだが、移動速度はあまり早くない。カメラ操作が出来ず、視界の外からの攻撃が凶悪な強さになっている。

ナックが大きくなると、通常攻撃のダメージが増える。このため、小さい敵を手当たり次第に倒していくところがあれば、無双ゲーとして楽しめないこともなかったのだが・・・。

 

・似合わない難易度の高さ

操作性自体は悪くはないが、難易度は別。かなり高い設定になっている。難易度設定はあるが、一度設定すると別のデータに行かないと変更できない。ノーマルでも結構厳しいと思う。

 

まず敵のダメージが大きめ。難しい難易度の場合は、大半の場面で2撃でミス。場合によっては一撃という。普通レベルの場合は1.5、2倍くらいは耐えられるが、攻撃が結構激しく、見切れないと結構受けてしまいがちなので、もう少し多くても良かった。

 

ナックの性能が低いことから、基本的な戦い方は、敵の攻撃を回避してからパンチ連打。覚えゲーに近いゲームなのだが、かといって覚えゲーと言い切れるかというと「違う」。

敵の攻撃パターンはほとんど2種類以上持っており、どちらかを見て判断しないといけない。攻撃範囲もナックとは違い状況に応じて変化できる上、攻撃の速度がナックより早くなっている。同じパターンで攻撃しても怯むときとひるまないときがあり、連続攻撃を行うと力負けしてしまう。コンティニューポイントもかなり少ない。

 

この仕様から、操作性自体は良くても、できることが少ないせいでアクション性が低く、難易度がかなり高いゲームになっている。操作性は良いといったが、アクション数の少なさからランダム要素に対応できるわけではない。

 

ある行動以外で回避できない攻撃パターンもある。その場合は一時的にゲームスピードが下がるのだが、これもアクション性を下げており、QTEを誰にでもできるようにしただけにしか見えない。もちろん、他の行動が出来ないときに出されるとそのまま終わり。

 

それ以前に、攻撃手段が少ない上、ゴリ押しをしようとすると連続攻撃であっさりやられてしまうことが多い。大きくなっても耐久力にはあまり変わりはなく、無双していたら一撃でミスになるなど、ゲームとしての遊び要素にすら欠ける。遊び要素に欠けるゲームをライト層に売ろうと考えるのは理解不能。

 

これらの仕様が長所を食いつぶしまくった。ランダム要素が強すぎるため、安全策を取り続けるゲームになりがち。爽快感に欠ける上、全体的に画面映えしない地味なプレイを強いられるゲームとなってしまっている。そして敵の攻撃を受けてやられると一気に前まで戻ってしまう。

 

そのため、ミスを繰り返し、アイテムを集めて危なくなったら必殺技、この繰り返しになってしまいがちで、やや味気ない。このプレイスタイルになりがちなのだが、場面によってはアイテムすらない場合もある有様。なお、場合によっては必殺技も回避されるという、徹底的に爽快感を奪うゲームと化している。

ステージは結構長めで、数も多いのだが、この作業プレイの繰り返しになってしまうことが多いのは配慮が足りていない。

 

この地味なゲーム性とかみ合わない(理不尽ともいえるレベルの)難易度の高さがラチェクラの出来損ないと称した理由である。例えるとレンチしか使えない初代ラチェクラである。流石にA4oよりかは面白いと思うが、ゲーム性は固定カメラや妙に厳しい難易度でA4oが最も近い。

 

・微妙なキャラとストーリー

ならばとストーリーやキャラに目を向けると、これもよく見ても無難な線しか来ておらず、あまり良くはないだろう。

ストーリーはシンプルなものだが、ゴブリンが一方的にやられ続けているように見えるのはいかがなものか。何か悪いことをしたのかもしれないが、そんな描写がないため、同情してしまった。設定自体は結構面白そうではあるのだが・・・。

 

キャラはかなり残念。主人公ナックの魅力がそれほどないのは痛い。小さいときの方が愛嬌があっていいと思う人が多い気が。それにしてもとにかく設定が薄い。

ヒロインらしき人物は最初は既に帰らぬ人の状態で始まるのだが、これも正直残念すぎる結末。年齢が高すぎてそういう展開の期待は不可能。味方側のキャラの性格が良いとは言えず、今作のキャラ評価を下げてしまった。一応暗いエンディングではないのが幸い。

 

・特殊能力追加も微妙

ナックの能力は、隠し宝箱からアイテムを入手すると付けられる。

 

しかし、アイテムを数種類集めないと完成せず、能力が付かない仕様。その能力もあまり使える機能がなく、止めに同じ難易度でないと使えず、クリアして難易度を変えると今まで入手したものが使えなくなるというあんまりな仕様である(ニューゲームからでないと難易度を変更できない仕様のため)。プレイデータを残すことで前の状態に戻したりはできるものの、要するに低い難易度でクリアして、強化されたナックで高難易度に挑むということができない。一応、全難易度で使える強化ナックも存在はするのだが、入手するまでがかなり大変。

 

それ以前に、仕掛けを解くと先に勝手に進んでしまい、アイテムを入手していない状態で進まないといけないこともある。そして進んでしまうと戻る方法がまったくない。ゲームを終了しなければこの周でとることはできない。それが嫌ならば、次周に行く必要がある。これの何が問題なのかというと、特殊能力追加アイテムが入っている箱を1周ですべて入手することが条件のトロフィーがあるため。

 

 

 

 

 

 

細かい部分に関してはよくできている。グラフィックやナックの体を構成している部分である。PS4の高い性能を生かしたゲームにはなっているだろう。今だ問題になることがある、ロード時間もほぼなく、(復活場所を考慮しなければ)やられてもすぐ復活できるのは最近のゲームにない長所。

なのだが、誰でもプレイできるゲーム、ライト層開拓を目指した割には理不尽なほどに高い難易度、魅力が薄いストーリーとキャラ、爽快感がなく全体的に地味なゲーム性と、配慮に欠けている要素が多い。また、細かい部分に関してはよくできているとしたが、それらが悉くゲーム性と関係ない部分であり、「面白さ」につながっていない。このようなゲームはPS3から目立つようになった。一時期花札屋ハードにPSが負けていた原因の1つと思われる。

こんなゲームではあるが、続編(2021/3/21現在フリープレイタイトル)が出ている。難易度は今作ほど厳しくなく、アクション性が純粋に高くなっており、成長要素もある。いろいろな要素が追加され、プレイしやすさはかなり上がっている。1よりも明らかに面白いといえるレベルに仕上がったが、独自性という面ではまだまだ足りていない。続編レベルの出来が初めから完成できれば・・・。

 

正直なところ、何度も言うようだが、ラチェクラの代わりには成れていない。ラチェクラの方が面白いというのが全体的な評価。万人向け、子供向けというのをこれ以上ないほどに勘違いしているゲームとなってしまった。原案はラチェクラの人だけど、日本人が作る高難易度ゲームって、ランダム性を強めた性でまともに攻略できないゲームが多いよね。モンスターハンター4Gみたいに。

PS2から消極的になっていった、自社開発手段を残しておけばこうはならなかったかもしれないが、こんな有様ではそもそもゲームを作るセンスがないに等しいと言わざるを得ない。PS時代のゲームも、アイディア面では一般人から募集したものを利用しており、ゲームの面白さを根本的に理解できていなかったものと思われる。大企業病か・・・。