フィチン酸塩フィチン酸フィターゼという消化酵素で、リン酸イノシトールに分解され吸収されます。

 

 人間にはこのフィターゼという酵素がありませんので、フィチン酸塩フィチン酸が消化・吸収されることはありません(腸内細菌によりフィターゼが生成されごく一部ですが、消化・吸収されると言う報告もあります)。

 

 牛や羊などの反芻動物(いつも、口をモグモグしている動物)は、胃の中の発酵によりフィターゼが生成されるため、これらの動物はリン酸イノシトールを栄養素として吸収することができます。

 

 しかし、豚や鶏などの単胃動物では基本的にフィターゼを生成できませんので、これらの肥育飼料として用いられる大豆、とうもろこしなどに含まれるフィチン酸塩は糞便として排泄され、りんなどによる富栄養化(赤潮などの発生原因)環境汚染の原因となっています。

 

 話が、少しそれてしまいましたが、大豆とともに摂取されたフィチン酸塩は胃の中で胃酸によりイオン化され、胃や腸内のあるさまざまなミネラルイオンとの互換が起きるようになります。

 

 大豆のフィチン酸塩にはカリウムが非常に多く含まれ、これらは同時に食事から摂取した鉄、亜鉛、カルシウムなどの人体により必要なミネラルと互換され、消化吸収されることなく排泄されてしまうことになります。

 

 したがって、大豆食品を多くとるということは、カリウムの摂取量は増し、カルシウムの摂取量や有用な鉄や亜鉛などの微量ミネラルを排泄させてしまうことになります。

 

 しかし、逆にアルミニウムや、水銀、カドミウム、ヒ素などの人間にとって有害な金属を排泄する作用もあるということにもなります。

 

 このように、大豆に含まれるフィチン酸塩には人間にとって長短があるのですが、それは同時に摂取する食べ物に大いに依存するということになります。

 

 一般に、貧栄養食事(ベジタリアン食など)や開発途上国の貧栄養状態での大豆食品の摂取は、微量ミネラルの摂取不足、およびそれに伴う障害という問題を現実に引き起こしています。

 

 このようなことから、食事療法等で貧栄養食をとっている場合や余りに植物性のみに偏った食事をしている場合は、鉄、亜鉛など有用な微量ミネラル不足による障害を起こすことになります。

 

 一方、有害重金属を含む食品(魚介類の水銀や米のカドミウム、玄米やひじきのヒ素など)を多くとる場合は大豆食品は有用であるかもしれません。

 

 また、フィチン酸はナイアシンなどの有用なビタミンをもキレートするといわれていますので、どのような食べ物でも偏ったもののとり過ぎには気をつけたいものです。

 

次回のフィチン酸についての補足を終えてから、大豆に含まれる消化酵素阻害物質(トリプシンインヒビター)へと続きます。