B  Act Naturally」

このアルバムは14曲中2曲がカバー。バック・オーエンスのカントリーナンバーだが、前作の「Beatles For Sale」でもやったように、彼らのカントリーのカバーは芸術的な領域で、当の本人も実に楽しそう。ここでもジョージのグレッチが曲調を決定付ける、重要な立ち位置。

10年ほど前に森高千里が「素敵な誕生日」という歌をヒットさせたが、あの歌を聴いてこの「Act Naturaiiy」を思い出し、苦笑する人も多かっただろう。歌自体は似てはしないが、あの歌のカントリーアレンジはどう聴いてもこの「Act Naturaiiy」。PVもカントリーバンドがバックで演奏していたような気がするけど、カントリースタイルをビートルズから拝借するという手口が憎い。

B◆ It's only love」

ジョンの作ではあるけれども、ジョン自身がプレイ・ボーイ誌のインタビューで「この曲は嫌いだ」と言っている。でもこの曲のファンは案外多いんじゃないかなあ。桑田佳祐さんもこの曲が好きなのに、当のジョンが嫌いな事を聞いてショックだったとか。ギターはハイコードのアコギと、エレキのリフ、あとワンワンと唸ってるのはスチールギターか、それとも単にボトルネックを使っているだけか、とにかく聴かせどころが多い名演と思うのだがなあ。

B 「You like me too much」

ジョージの作。エレピはジョージ・マーティンかな。曲調自体ポールっぽいのだけれども、けっこう手伝った部分はあるのかもしれないね。ジョージはビートルズ解散後に曲のアレンジにも才能を発揮するけど、この頃からこのエレピの使い方にその片鱗が出てるかなあ。

Bぁ Tell me what you see」

「I'll follow the sun」の「Help!」版って感じですね。終始ジョンとポールのツインボーカルで、主旋律はポールなんだけれども、ところどころでジョンが上手く後ろに回って、ポールのダブルトラックに聴こえてしまう。いいですね、こういうジョンとポールの掛け合い。

Bァ 嵬瓦凌諭

カントリー・フォークとでも言うのでしょうか、いいですね!ポールの才能爆発といった感じです。後年ジョンは、ポールのこういうギターものを作る才能を高く評価していましたが、イントロのアルペジオもきっとポールによるものでしょうね。歌もメロディもポールらしくて素敵。早口な歌詞が曲をカントリー調にしていますが、ギターさばきも軽快。

BΑ Yesterday」

完全にポール名義の曲で、他の3人はほぼ関知せず。当のポールも歌とアコギが自分で、あとはヴァイオリンで占められてしまった事に後ろめたさがあったようですが、ジョンは「それがベストな方法なんだから」とポールを後押し。歌の素晴らしさ、アレンジの素晴らしさ、ビートルズの代表曲であり、ポップス史上の名曲となってしまいましたが、ここで他の3人が別のアレンジをしてしまったら、まったく違う結果になったでしょうね。

BА Dizzy Miss Lizzy」

ラリー・ウイリアムスのナンバーのカバー。このアルバムラストになぜこの曲を持ってきたのが理由が分からん。「Yesterday」でのクラシックアレンジが気恥ずかしく、やっぱりオイラ達はロケンローラーなんだよ、とでも言いたかったのか(^_^;
リンゴのドラム、ジョンのシャウト、カバーもので張り切るいつものパターンだけれども、今回はギターが最悪。ツインギターで同じフレーズを最初から最後まで繰り返すのだけれども、この2本のギターはジョンとジョージのツインなのか、あとでジョージがかぶせたのか不明だけども、とにかく合ってない。少なくともイントロの部分はバッチリあってるから、ボーカルのジョンが歌いだすと共にそっちに気が行ってギターが遅れがちになって、こうなったのか。途中、トチったのか、意図的にそうミックスしたのか分からないがフレーズの繰り返しが抜けているスカな部分もあったりして、名演「Yesterday」の後だけに、なんともトホホな締めくくりとなってしまった。