弘法筆を選ばずなんて言葉があるように、達人と言われるような人は(ある程度)どんな道具を使っても、ある程度のパフォーマンスができるのに違いない。クラシック音楽に関しては、世界をまたにかけるピアニストやオルガニストの例を見れば(聴けば)納得できるかと。

 でも、自分のようなトロンボーン吹きでは、とてもとても。

 道具は選びますぜえ。楽器本体はさておいて、マウスピースについては結構お金と時間をかけたつもりだが、どうも自分との相性が悪い、というか自分の体と心が受け付けてくれないメーカーがある。

 この「心」というのは結構重要で、例えマウスピースのサイズやスロートなど客観的な数字が同じでも、これは合う、これは合わないということがあり得る。これはマウスピース以外、クラシック音楽以外でも人生全般にある「思い込み」なのだが、この思い込みが人生においてパフォーマンスに影響するという事例を結構知っている。

 トロンボーンのマウスピースでは、どうも自分にはシルキーが合わないんですな。これまで50、51、51B、51C4、52、シンフォニー5.2シリーズを使ったことがあったが(持っていたという訳ではなく、使ったということ。借りたものもあった)、結局5.2シリーズ以外は本番で使うことなく手放してしまった。ああもったいない。52なんてリムをデニスウイックの4BLに変えてシャンクも削って使えるかと思ったけれど、結局扱いづらいままだった。5.2シリーズは最近2週間ほど使ったが、上のDが鳴らなくなって、結局お蔵入り。

 なんで合わないか、と自分で分析しても良く分からない。

 シルキーのマウスピースを使っている人は少なくないし、プロでもアマでもいい音してるんだけれど。