今は昔、昭和から平成にかけて、福島市にアマチュア吹奏楽団「福島市民吹奏楽団(FCB)」があった。団員はもともと市内の中学校OBを中心にした高校生以上で、春の福島刑務所などの慰問演奏、夏のサマーコンサートや吹奏楽コンクール、冬の定期演奏会など、活発に活動していた。団員有志によるハンドベルクワイヤーの演奏も特徴だった。

 初めて福島市民吹奏楽団の演奏を聴いたのは昭和50年代の小学生のころのサマーコンサート。自分が住んでいた(今も住んでいる)団地の中心施設での屋外演奏会で、トロンボーン4人による「トロンボナンザ」、かっこ良かったなあ。そのころのトランペットセクションには、新人のNHK記者で福島支局にいた20歳代の山本浩さん(あくまでも仮名!、今は解説、学識経験者としてスポーツ関係でよく知られた方)もいらっしゃった。

 自分も高校時代に所属したが、思い出に残るのは福島刑務所の慰問演奏。受刑者の皆さんが自分たちの伴奏で歌う姿を見る(聴く)と、熱い思いが伝わった。サマーコンサートでは、オケと違って音符の玉がやたら多くリズムに乗り遅れられない緊張感が新鮮だった。その経験は、大学後半の自称「フリーのアマチュア」時代に役立っている。

 で、その福島市民吹奏楽団は、今はない。前回記した「福島市ジュニアオーケストラ」もそうだが、ある団体が消えていくのは悲しいことだ。円満に解散なんてことはめったにない。何らかの形で影響が残る。

 近々、福島市に山本浩さんが講演にいらっしゃる。講演のテーマはスポーツに違いないが、会場で話す機会があったら、昔のトランペッターの話をしてみたい。