あまり映画は見ないほうだが、心に残っている作品のひとつに「人間の証明」がある。

初めて見たのは昭和60年代の大学時代、仙台市から秋田市だったか青森市だったか、コンクール東北大会の(行きか帰りかさえ忘れている)バスの中。

多くのメンバーが眠っている中で、小さな画面に映画「人間の証明」の映像。母子の関係や時代背景などがちりばめられた、やや時代遅れの映像を何とはなしに見ている自分を含めた何人か。画面からの光がその人たちの顔をうっすら照らす。日頃音楽やら勉強やらで疲れている身として、気だるい感じの中で「おお、我が同志」という感じだった。それはその後、とんでもない思い込み、勘違いだったのだけれど。

楽隊用語の「ビータ」とでも言おうか。本番の演奏会場までの、あるいは帰りの集団行動は、なんとなく懐かしく悲しく恥ずかしい記憶がある。